最新記事

災害

トルコ・シリア地震、死者3700人超・負傷者1.6万人以上 救出活動続く

2023年2月7日(火)10時05分
地震で倒壊した建物と救出作業を行う人々

トルコ南東部のシリア国境付近で6日に発生したM7.8の地震で、死者は両国合わせて3700人、負傷者も1万6000人を超えた。シリアで6日撮影(2023年 ロイター/Khalil Ashawi)

トルコ南東部のシリア国境付近で6日に発生したマグニチュード(M)7.8の地震で、死者は両国合わせて3700人、負傷者も1万6000人を超えた。広い地域で建物が多数倒壊し、依然がれきの下に取り残された人がいるもようで、救出活動が続いているものの、悪天候が捜索の妨げとなっている。

1回目の地震に続いてM7.7の地震が再び発生。1回目と同様、揺れは広い範囲で感じられた。少なくとも2834の建物が倒壊したとみられている。

トルコの災害緊急事態対策庁(AFAD)によると、同国の死者は2316人。イスタンブール近くの人口密集地域で1999年に発生し、1万7000人超が死亡した地震以来、最多となった。負傷者数も1万3000人を超えた。

当局などによると、シリアでは少なくとも1444人が死亡、負傷者は約3500人に達した。

世界保健機関(WHO)の東地中海地域緊急事態ディレクター、リック・ブレナン氏は、震源地周辺ではさらに建物の倒壊が増えるとした上で、余震により救助活動が困難となっているとし、死者数が大幅に増加するとの見通しを発表した。

米地質調査所(USGS)が記録した世界の地震としては、2021年8月に南大西洋で発生した地震以来、最大規模という。

エルドアン大統領は、1939年以降で最大の災害だとした。世界45カ国から捜索・救助活動の支援申し出を受けているという。

米国務省によると、ブリンケン国務長官はトルコのチャブシオール外相と地震を受けた状況を巡り協議し、「トルコが必要とすること」を支援する考えを表明した。

ブリンケン長官はこれに先立ち、声明で「トルコに対する初期段階の支援はすでに進行中で、シリアでは米国が支援する人道支援組織が地震の被害に対応している。われわれは今後数日、数週間、さらに数カ月にわたり、地震の影響を受けた人々を支援するためにできることを全て行う決意だ」と述べていた。

バイデン米大統領も声明で「トルコの捜索・救助活動を支援し、地震によって負傷、避難を余儀なくされた人々のニーズに対応するため米政権のチームを迅速に配置している」とした。ホワイトハウスによると、米国は79人で構成する捜索救助隊2隊を派遣した。

米国国際開発庁(USAID)によると、災害対策の専門家チームを現地に派遣し、「最前線にいるトルコ当局や現場のパートナー、米政府各機関と緊密に連携して活動する」という。

ロシア大統領府によると、プーチン大統領はシリアのアサド大統領、トルコのエルドアンと電話で会談し、両国に対し救助隊の派遣を申し出た。両国はプーチン氏の申し出を受け入れたという。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

テスラ第3四半期納車が過去最高、米の税控除終了で先

ビジネス

ホンダ、ブラジルの二輪車工場に440億円投資 需要

ビジネス

マクロスコープ:生活賃金の導入、日本企業に広がる 

ワールド

米政権が「麻薬船」攻撃で議会に正当性主張、専門家は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 4
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 5
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 6
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 7
    1日1000人が「ミリオネア」に...でも豪邸もヨットも…
  • 8
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 9
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 10
    AI就職氷河期が米Z世代を直撃している
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中