最新記事

中国

中国の反体制派は「同期の非対称」問題を克服し、体制を転覆させられるか

THE CHINESE REVOLT ENDS?

2023年1月13日(金)12時25分
練乙錚(リアン・イーゼン、香港出身の経済学者)

230117p18_CGH_04.jpg

隔離や検査を強制した白い防護服姿の作業員に市民の怒りが(北京、昨年12月) THOMAS PETER-REUTERS

辛亥革命後の国民党同様、中国共産党もまずは国土を分割し、地方から革命を進めることで勝利を収めた。

だから現在、国土の周縁部でくすぶる民族解放の動きには神経をとがらせており、早いうちに芽を摘むか、さもなければ容赦なく弾圧している。

その一方で国民には、教育を通じて「一つの中国」の理念をたたき込んできた。中国共産党は基本的に漢族の党だ。漢族以外の少数民族は「一つの中国」など信じないが、漢族の人々(とりわけ中部・東部諸省の住民)はすんなり受け入れる。

だから今では漢族の大半が、たとえ共産党嫌いの民主派であっても、国家の統一を支持しており、少数民族の分離独立には反対している。そのせいで自分たちの自由や民主主義が損なわれてもいいと思っている。

しかし昨年12月以来、新たな変化の兆しが見える。

必ずしも中国共産党を支持しない国外在住中国人の間では、反乱の同期という課題はよく理解されている。もはや民族解放や分離独立の話もタブーではなくなり、賛否をめぐる冷静な議論が交わされている。

ここへ来て「白紙の乱」が起きたのだから、2019年に香港で起きた分離独立志向の民主化運動は正しかったと論じる人もいる。

そうした声はまだ小さい。しかし筋は通っている。

果たして欧米の識者が望むように、そうした声が火種となって、やがて中国の大草原を焼き尽くす日が来るのだろうか。

ニューズウィーク日本版 トランプvsイラン
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月8日号(7月1日発売)は「トランプvsイラン」特集。「平和主義者」の大統領がなぜ? イラン核施設への攻撃で中東と世界はこう変わる

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米6月雇用、14.7万人増と予想上回る 民間部門は

ワールド

ロシア、ウクライナ徴兵事務所に空爆 オデーサ港でも

ビジネス

米新規失業保険申請6週間ぶり低水準、継続受給件数は

ワールド

ロシア海軍副司令官が死亡、クルスク州でウクライナの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 6
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 7
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 8
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 9
    「コメ4200円」は下がるのか? 小泉農水相への農政ト…
  • 10
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 8
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 7
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中