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韓国の武器輸出が過去最高に その理由とは? そして、日本への影響も

2022年12月20日(火)18時30分
佐々木和義

ポーランドが韓国製を選んだ最大の理由は納期

そして、ポーランドが韓国製を選んだ最大の理由は納期である。ポーランドは当初、米国製のM1A2戦車とドイツのレオパルト2A7戦車、自走砲はドイツのPzH2000を導入する計画だったが、いずれもポーランド軍が求める時期に納入できない。ドイツはレオパルト2戦車180両の完納まで10年以上かかるが、韓国は同数のK2戦車を3年以内に輸出すると提示した。多連装ロケット砲も米国から500門の高機動ロケット砲システム(HIMARS)を購入する計画だったが、ポーランド軍が望む納期を実現できないという回答だった。

K2戦車の導入を検討するノルウェーは、韓国がポーランドに提示した納期を守れるかどうかに注目する。どれほど値段が安くても納入が遅れると国防に支障が出る。

韓国は受注したFA-50戦闘機48機中12機を2023年中頃までに納入すると提示した。通常より早い納期で、ある専門家は韓国軍の整備計画に合わせて着手したFA-50をポーランドに引き渡す可能性を指摘する。通常、武器製造は自国軍を優先させて余力を輸出に充てるが、韓国は自国軍を犠牲にすることになりかねない。

韓国軍の整備計画が遅延すると日本も皺寄せ?

韓国軍の整備計画が遅延すると韓国の防衛はもとより日本も皺寄せを受けかねない。韓国空軍は朴正熙政権時代に導入が始まったF-5を80機運用するが、老朽化が進み、事故が相次いでいる。今年1月、大尉が墜落事故で亡くなるなど2000年以降、15機にトラブルが発生し、16人の空軍パイロットが事故で命を落とした。ある空軍パイロットは「命がけで乗らなくてはならない機種」と話しているという。

また万一、韓国の防衛力が不足する状態で有事が起きると、米国は在日米軍に加えて自衛隊にも支援を求めるだろう。尹錫悦(ユン・ソギョル)政権が対北朝鮮対策で日米韓の連携を求めており、いざというとき日本が対岸の火事に巻き込まれるおそれがあるのだ。

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