最新記事

テレワーク

テレワークの普及で女性の負担が増加したのはなぜか

2022年12月14日(水)11時00分
舞田敏彦(教育社会学者)

中には、心身を害する女性もいるだろう。穏やかでないが、それは自殺統計からうかがえる。2019年と2021年の30~40代の年間自殺者数を比べると、男性は4272人から4203人に減っているのに対し、女性は1483人から1746人に増えている。推移を延ばすと、これがコロナ禍以降の傾向であることが分かる。<図1>は、5年間の自殺者数の推移を2019年基準でみたものだ。

data221214-chart02.png

コロナ禍以降、10~20代の子ども・若者の自殺者が増えている。友人と会えない孤独、将来展望閉塞、女子にあっては性被害といった事情が考えられる。だが30歳以上では、女性だけで増えている。飲食業やサービス業で非正規雇用女性の雇止めが激増し、経済苦が広がったためと思われるが、家庭生活の負荷が増えたことにもよるのではないか。政府の『自殺対策白書』(2022年度)でも、「有職の女性の自殺が増えた背景には、仕事と家庭の両立に係る生活環境の変化等が影響している可能性が考えられる」と言及されている。

コロナ禍以降、働き方は大きく変わったが、家庭内で女性に負荷がかかるようになってしまっている。男性の在宅時間が増え、時間の余裕ができたからといって、ワークライフバランス度(家庭進出度)が上がるわけではない。在宅勤務や育休の取得等を(機械的に)促すだけでなく、意識の啓発も伴わなければならない。

<資料:総務省『社会生活基本調査』(2021年)
    厚労省『人口動態統計』(2021年)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=急反発、AI関連銘柄が高い

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、一連の中銀決定会合に注目

ワールド

米・イラン、ここ数日で直接対話再開か=報道

ワールド

EU、紅海任務のホルムズ海峡への拡大に慎重=カラス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったのか?
  • 3
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 4
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングア…
  • 7
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 8
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中