最新記事

日本社会

「パパ活より街に立つほうが効率的に稼げる」 25歳・実家暮らしの彼女が歌舞伎町にたたずむ訳は?

2022年12月23日(金)18時00分
中村淳彦(ノンフィクションライター) *PRESIDENT Onlineからの転載
歌舞伎町で佇む若い女性

歌舞伎町のはずれには毎夜多くの若い女性が立ち並ぶ…… *写真はイメージです maruco - iStockphoto


日本最大の繁華街・歌舞伎町のはずれにある都立大久保病院の前には、毎夜多くの若い女性が立ち並んでいる。彼女たちはどんな目的でここに立っているのか。ノンフィクションライターの中村淳彦さんがリポートする――。

※本稿は、中村淳彦『歌舞伎町と貧困女子』(宝島社)の一部を再編集したものです。

試しに立ったら、5秒で声がかかった

マスクをとった星野恵梨香は美人だった。

口調や人当たりも明るく、どう眺めても普通の一般的な女の子である。神奈川県で実家暮らしの25歳、仕事は非正規の倉庫作業をしている。2022年7月末から大久保病院前で街娼をしているという。

「キッカケはTOHOシネマズの前に、そういう女のコを探しているオジサンたちがいるって知ったから」

違法行為をしている街娼との会話は苦戦を強いられるが、星野恵梨香は一瞬で事情を察してくれて普通に語ってくる。

「(TOHOシネマズに上る)エスカレーター前に雨宿りできるような所があるじゃないですか。そこに立った。お金が欲しかった。そのときオジサンに声をかけられて、条件いくら? って。今日は時間ないから行けないけど、他にオジサンが集まるスポットがあるって大久保病院前を教えてもらって、連れて行かれた。そしたらホントに女の子がたくさん立っていた。オジサンもいっぱいいた」

星野恵梨香はオジサンに言われたとおり、病院前に試しに立った。中年男性から5秒で声がかかった。2万円という条件を言うと、相手はうなずいたのですぐに近くのラブホテルに行った。それが初めての売春行為だった。

それから時間を見つけては、大久保病院前に行って街娼をするようになった。

「月30万~50万円くらい欲しい」その理由は...

「お金が欲しい理由はホストに行きたいから。シンプルにお金を稼ぎたい。私はそんなにボンと使うタイプじゃなくて、飲むのが好きだから回数会いに行きたい。だから一度に使うのは5万円とか、それくらい。週2回は行きたい。だから月30万~50万円くらい欲しい。そのお金を稼ぐために立っている」

どうも、大久保病院前に立っている女の子たちのほとんどはホス狂いのようだ。

星野恵梨香は、担当に恋愛をして入れ上げるタイプではなく、ホストクラブで遊ぶのが楽しくて趣味になっているようだった。どうしてホストクラブに行くようになったのか。

「5月に女友だちと歌舞伎町に3人で行った。そのときキャッチから声をかけられて、ホストどう? って。最初は断った。でも楽しいよって言われて、お酒を飲めるし、安くいけるからって行った。それで、私だけハマっちゃった。お酒を飲むのがすごく好きで、それにカッコイイ人とお酒を飲めるのが楽しい。最高に楽しいと思ったので通っています」

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、加・メキシコ首脳と貿易巡り会談 W杯抽

ワールド

プーチン氏と米特使の会談「真に友好的」=ロシア大統

ビジネス

ネットフリックス、ワーナー資産買収で合意 720億

ビジネス

米国株式市場=小幅高、利下げ期待で ネトフリの買収
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 2
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い国」はどこ?
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 6
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 7
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 1
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 2
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中