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経済・移民・環境・宗教・医療・選挙権・3期目──トランプ「次期」大統領の野望が変えるアメリカ

IF HE WINS AGAIN

2022年11月16日(水)09時50分
デービッド・H・フリードマン(ジャーナリスト)

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娘のイバンカ(右)とその夫ジャレッド・クシュナーはトランプにとって最大の側近でもある TASOS KATOPODIS/GETTY IMAGES

今から6年後のアメリカでそんなことが起こるとは、到底考えにくいが、トランプが全力でそれを実現しようとする可能性はある。それに、その下地は既に存在しているはずだと、ベルトは指摘する。

「トランプが2期目の当選を果たした時点で、選挙制度に対する不信感が高まるだろう。トランプはその波に乗ることができる」と彼は言う。

トレメインは比較の対象として、1946年から1974年まで28年間にわたり、断続的に4回大統領の座に就いたアルゼンチンのフアン・ペロンを挙げる。

ペロンは最初、軍事クーデターで実権を握り、その後、選挙で大統領に選ばれたこともあったが、権力の座を追われていた時期も、亡命先から労働者階級を動かしてアルゼンチン政治に影響を与え続けた。

トランプもペロンのように、熱狂的支持者を意のままに操る存在になりつつあるのかもしれない。そうなれば、民主主義のルールに反して、長期にわたり権力を維持できるかもしれないと、トレメインは語る。

「路上の暴徒を動かす者こそ、最大の軍隊を握っている」と彼は言う。

「トランプ主義はペロン主義と似ている。アイダホ州の共和党支持者の70%は、バイデンが正当な大統領だと思っていない。民主主義は既に破綻しているのかもしれない」

ボルトンも、トランプが2期目を終えても権力にしがみつく姿を想像できると言う。その一方で、トランプが任期終了を受け入れる可能性もないとはいえないとする。

「トランプは自分のレガシー(遺産)について考え始めるだろう」と彼は言う。

「もう選挙に出られない以上、支持者の顔色をうかがうこともない」

そこでトランプは、アメリカの二極化を治癒できる人物として名を残そうとするかもしれないと、ボルトンは言う。

「トランプは保守だと思われているが本当は違う。娘のイバンカ夫妻が、次の最高裁判事はリベラルを指名すべきだと言ったらトランプは聞き入れるかもしれない」

トランプ自身も2009年まで8年間は、民主党支持者として登録していた。それだけに、2期目のトランプが、これまでの火炎放射器を捨てて消火器を手に取る可能性は、ゼロではないかもしれない。

ただ、ボルトンはすぐに、それが多くの可能性の1つにすぎないことを強調した。

「トランプの世界では、どんなに小さな可能性もないとは言い切れないからね」

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