最新記事

核戦争

「核を使う気ならアメリカはプーチンを排除できる」(ボルトン)

John Bolton Suggests U.S. Could Take Out Putin if He Uses Nuclear Weapons

2022年10月12日(水)14時04分
アンドリュー・スタントン

ロシア軍が壊滅したり国内で失脚しそうになればやりかねない、とボルトンは言う(10月9日) Sputnik/Gavriil Grigorov/Kremlin/REUTERS

<トランプ政権の安全保障担当顧問だったジョン・ボルトンは核兵器の使用を匂わせるプーチンには暗殺も辞さないことを示し、彼を抑止すべきだと語った>

ジョン・ボルトン前米大統領補佐官は10月11日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が核兵器を使用するなら、アメリカは彼を排除できると語った。

ロシアとウクライナの戦争は7カ月目に入り、核兵器使用に対する懸念が高まっている。2月末に「特別軍事作戦」と称してウクライナに侵攻して以来、ロシア軍はかなり大きな損失を被っており、プーチンは最近、盛んに核兵器による攻撃を匂わせるようになった。

ドナルド・トランプ前米大統領の国家安全保障担当顧問を務めていたボルトンは11日、イギリスのラジオ局LBCに出演し、核戦争の可能性について語った。そしてアメリカに、プーチンの核兵器使用を抑止する取り組みの強化を呼び掛けた。

「プーチンが戦術核兵器の使用を命じるとしたら、それはみずからの遺書に署名するのと同じだということを、われわれは明らかにすべきだ」と、ボルトンは言った。「プーチンが極限状態に陥った場合、彼を思いとどまらせるには、そのくらいのことが必要だと思う」

高まる核の脅威

ボルトンは、核兵器の使用を指示したら「責任を取らせる」ことを明確にすることで、プーチン抑止の可能性が高まるという考えを明らかにした。アメリカはプーチン本人を狙うこともできるはずだ、と付け加えた。

「アメリカに脅威を与える存在と判断された人間がどうなるか、イランのガセム・ソレイマニに聞いてみるといい」と、ボルトンは指摘した。イラン革命防衛隊の司令官だったソレイマニは2020年、米軍の無人機攻撃によりイラクで暗殺された。

プーチンがこれまでに口にした核の脅威は「はったり」だと思うとボルトンは言いつつ、ウクライナでロシア軍が「崩壊」したり、プーチンが国内で「本当に悲惨な」政治状況に陥ったりした場合、彼が核兵器を使用する可能性は否定しないと述べた。

ジョー・バイデン大統領は6日、核兵器による「アルマゲドン(世界最終戦争)」のリスクを警告した。バイデン政権がロシアの核の脅威をこれほど直接的に認めたのは初めてだ。

「プーチンが戦術核兵器や生物・化学兵器の使用の可能性について話すとき、彼は冗談を言っているのではない」と、バイデンは言った。「戦術核兵器を使ってアルマゲドンに至らないようなやり方は不可能だ」

ニューズウィーク日本版 高市早苗研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月4日/11日号(10月28日発売)は「高市早苗研究」特集。課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ネクスペリア中国部門「在庫十分」、親会社のウエハー

ワールド

トランプ氏、ナイジェリアでの軍事行動を警告 キリス

ワールド

シリア暫定大統領、ワシントンを訪問へ=米特使

ビジネス

伝統的に好調な11月入り、130社が決算発表へ=今
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 5
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 6
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 7
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 8
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 10
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中