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デリヘルで生計立て子供を私立の超難関校へ スーパーのパートも断られたシングルマザーに残された選択肢

2022年8月11日(木)13時45分
黒川祥子(ノンフィクション作家) *PRESIDENT Onlineからの転載

 *写真はイメージです maruco - iStockphoto


日本のシングルマザーが貧困から抜け出す道は極めて険しい。3歳の子どもを連れて離婚した真希さん。仕事を探しても断られ続け、やむなくたどり着いたのはセックスワーカーの仕事。昼間に働けて高収入。子どもを超難関の私立高校に入れることができたという。真希さんにとって、性風俗の仕事は唯一の救いの道だった――。

※本稿は、黒川祥子『シングルマザー、その後』(集英社新書)の一部を再編集したものです。

転落の始まりは、憧れのJリーガーとの結婚

ほっそりとした、美しい女性だった。大野真希さん(仮名、40歳)。

今回の取材を始めるにあたり、私自身のサイト(今は閉鎖している)で、シングルマザーの方へ話を聞かせてと呼びかけたところ、連絡をくれた唯一の女性だった。その意味で真希さんは、自ら志願して、私に自分の「これまで」を伝えようと決めた女性でもあった。

取材時の真希さんは、高校2年生の息子と2人で暮らしていた。シングルマザー歴が「大体、17年ぐらい」と言うのだから、結婚期間が非常に短かったことがわかる。

真希さんは両親と姉との4人家族で育ち、実家は工務店を営んでいた。短大の英文科を卒業後、就職することもなく、キャバクラなどでのアルバイト生活を選んだ。

「就職氷河期だったから、面接で結構、落とされて......。もともとガッツもないし、必死に就活することもなく、アルバイトでいいかなって。バカだったんです。お金が入れば遊びに行ったり、洋服買ったり......。結婚して、専業主婦をやればいいって、軽く思ってました」

真希さんは何度も、「バカだった」と繰り返す。社会がこれほど不況になるとは、思いもしなかったと。世はまさに、就職氷河期、真希さんはロスジェネ世代だ。男性であっても、正規職に就くのは難しい時代だった。

そもそも正規雇用の男女比は、男性が女性の倍以上の数で推移している。女性は男性から扶養されることを前提に、低賃金の非正規労働でいいとされてきており、正規職に就くのは男性より難度が高い。

たまたま誘われた合コンで、真希さんは憧れの人と出会い、つきあうこととなった。高校時代、サッカーで全国大会出場を果たした選手で、短期間だが、Jリーグにも所属していた。高校時代からファンだったという。

合コン後、すぐに交際がスタートした。3カ月後には妊娠、そしてでき婚というスピード婚だ。真希さんは22歳、夫は23歳。夫は当時、子どものサッカーチームでコーチをしていた。

「これじゃ、全然、稼げない。なのに、深く考えず、結婚しちゃった。憧れの人だから、舞い上がったんでしょうね。本当に、バカって感じ」

真希さんはサラリと、当時の自分を突き放す。

連夜の飲酒とDV

一緒に暮らしてわかったのは、夫は毎日、浴びるように酒を飲み、酔っぱらうとネチネチと絡んでくる酒癖の悪さがあることだった。やがて、真希さんへ暴力を振るうようになった。

「頰っぺたをパーでパシーンと殴られて、もうショックでした。私は、これは耐えられないと思って......」

真希さんが「私は」というのは、夫の母、つまり義母が義父の暴力に耐え続けてきた人だったからだ。義父もまた毎日、大量に酒を飲み、妻へ殴る蹴るの暴力を振るう人物で、義母は長年、それに耐えてきた。

「夫はすぐ酒に飲まれて、ネチネチ因縁をつけて、パーやグーで顔を殴る。翌日、謝ってくることもあれば、覚えてないとかとぼけたり」

耐えかねて、友人の家に避難したこともあった。そうなると、夫は知っている限りの真希さんの友人に電話をかけまくり、連れ戻す。束縛も強く、真希さんが友人と出かけることを嫌がるなど社会的DVもあった。

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