最新記事

ベラルーシ

プーチンの「ほぼ完全なポチ」になった男

Lukashenko 'Almost Wholly Dependent on Russia' as Belarus Helps Putin: UK

2022年8月1日(月)16時40分
アンドリュー・スタントン
プーチン、ルカシェンコ

プーチンと一緒にアイスホッケーをするほどの仲(2020年2月) Sputnik/Mikhail Klimentyev/Kremlin

<英国防省の最新分析。ますます専制的にもなっている>

イギリスの国防省は7月31日、ロシアによるウクライナ侵攻に関する情報当局の最新の分析を発表。ウクライナ侵攻を支持しているベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は「ほぼ完全にロシアに従属する」ようになったとの見方を示した。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にとって、今やルカシェンコは大切な盟友だ。2月に始まったウクライナ侵攻でロシア軍が行ったとされる戦争犯罪や、そもそも侵攻を正当化するだけの根拠がない点について、プーチンは世界各国の指導者から糾弾されている。

英国防省の分析によれば、ルカシェンコは以前に増して専制的になるとともに、ますますプーチンに従属的になっているという。

英国防省はルカシェンコが「ウクライナ紛争についてロシア政府の路線に従い続けている」と指摘。

さらに「死刑(の対象)を『テロ行為の準備』に拡大するなど同政権はさらに専制的になっている」と述べるとともに、「ベラルーシとウクライナに対する西側の陰謀という根拠のない非難をさらに強めていることは、彼がほぼ完全にロシアに従属していることを示していると思われる」とした。

また英国防省はロシア軍がベラルーシ領内から「ウクライナ北部にミサイルを少なくとも20発打ち込んだ」という情報も伝えた。

さすがに戦闘への参加は拒んだようだが

本誌はベラルーシ外務省にコメントを求めたが回答は得られていない。

ほぼ全ての欧州諸国がプーチンのウクライナ侵攻を非難しており、ルカシェンコは欧州首脳の中でほぼ孤立している。多くの国々がロシアに制裁を科したり、ウクライナに軍事的または人道的援助を行ったりしている。

以前からロシアと緊密な関係にあったとはいえ、ルカシェンコのようにロシアによる侵攻を支持している首脳は珍しい。ベラルーシ軍を戦闘に参加させるには至っていない(プーチンからは要請があったと伝えられる)ものの、自国の領内からロシア軍がウクライナに攻撃を加えることは容認している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請件数、1.3万件減の22万400

ビジネス

ECBが金利据え置き、4会合連続 インフレ見通し一

ビジネス

米11月CPI、前年比2.7%上昇 セールで伸び鈍

ワールド

米、台湾への武器売却を承認 ハイマースなど過去最大
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 2
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 7
    円安と円高、日本経済に有利なのはどっち?
  • 8
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 9
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 10
    欧米諸国とは全く様相が異なる、日本・韓国の男女別…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中