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ロシアの攻撃ヘリを2機撃破、勢いに乗るウクライナ軍

Russia Loses Another 'Alligator' Helicopter, UAVs in Counterstrike: Ukraine

2022年8月23日(火)20時41分
ニック・モードワネック

頑丈で重武装、「空飛ぶ戦車」と呼ばれるKa-52アリゲーター Sergey Pivovarov-REUTERS

<ウクライナ軍ではハイマースやドローンが引き続き威力を発揮、ロシア軍は練度の高い部隊が極端に不足>

ウクライナ空軍は2022年8月21日、同軍の対空ミサイル部隊が、ロシア軍の攻撃ヘリコプター「Ka-52」、通称「アリガートル(アリゲーター)」をわずか5日間で2機撃破したと述べた。ほかの軍用機も複数、破壊したという。

ウクライナ空軍がフェイスブックに投稿した内容によれば、同軍は、複数のロシア軍基地に10回の「爆撃」を行い、Ka-52のほかにも、軍事用無人航空機(UAV)7機と、巡航ミサイル「カリブル」2発を破壊した。ウクライナ軍は8月16日にも同規模の攻撃を行い、南部ザポリージャと東部ドネツクで、ロシアのアリゲーター1機と無人航空機3機を破壊している。

■ロシアの「空飛ぶ戦車」を見る

ウクライナでは、両軍による空爆が続いている。ウクライナ軍参謀本部がフェイスブックに投稿した内容によると、ロシア軍が空爆したのは、ザポリージャ方面ではマラトクマチカとオルヒブスケ、黒海に流れ込む南ブーフ川方面では、ザリチネ、ビラクリニツィア、アンドリルブク近くだ。

「わが軍のミサイル砲兵部隊と航空部隊は引き続き、指令を受けた領域での射撃任務を首尾よく遂行している」と、ウクライナ空軍は書いている。「敵の部隊は組織的な損失を被っており、訓練を積んだ士気の高い増強部隊は極端に不足している」

黒海艦隊司令部の恥

ウクライナ軍は、米国から供与された高機動ロケット砲システム「ハイマース(HIMARS)」を使って、引き続き戦果をあげている。8月22日の新たな報道によれば、ウクライナ軍は、ドネツク州にある親ロシア分離独立派の拠点を標的にした攻撃を成功させた。分離独立派によるこの拠点は、2014年にロシアがクリミア半島を併合したときから存在していたものだ。

ウクライナ東部ルハンスク州の軍事行政トップ、セルヒ・ハイダイは、8月22日にドンバスの親ロシア派分離主義勢力ピャトナシュカ旅団の拠点が炎上したと発表した。

ハイダイはフェイスブックにこう書いた。「ルハンスクで戦った、かの有名な武装集団、ピャトナシュカ旅団の拠点が燃えている。死者は200人台、負傷者は300人台になるだろう。最先端の装備は破壊された。もちろん、これで終わりではない」

8月20日には、クリミア半島セバストポリにあるロシア軍の黒海艦隊司令部をドローン攻撃した。ロシア当局によれば、負傷者は出ていない。

しかし、ジャーナリストのクリスト・グロゼフはツイッターに、ロシア軍の黒海艦隊司令部が拠点とする建物から煙がのぼっている動画を投稿しつつ、こう述べている。「負傷者が出たにせよ出なかったにせよ、黒海におけるロシア海軍の中枢部がドローンに直接攻撃を受けたのは恥以外の何物でもない」

(翻訳:ガリレオ)

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