最新記事

ロシア

ロシア軍が弱いのは対NATO攻撃に備えて戦力を温存しているからか──NATO分析

Putin May Be Saving Aerial Strength for Attacks on NATO: Report

2022年7月28日(木)11時38分
マシュー・インペリ

ロシアの主力戦闘機ミグ29の編隊飛行(2021) Tatyana Makeyeva-REUTERS

<NATO国防大学の最新のリポートは、ウクライナ侵攻の緒戦でロシア軍が予想外に弱かったのも、空中火力を温存していたためではないかと、NATO加盟国への攻撃を警告する>

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、将来のNATO加盟国への攻撃に備えて、戦力と空中火力を温存している可能性があるというリポートが発表された。

NATO国防大学が7月27日に発表した「ウクライナ後のロシア軍:倒れるが、まだ負けない」は、ウクライナと戦争中の現在のロシア軍の状態が、NATO加盟国への更なる攻撃につながる可能性を検証している。

それによると、ロシアは多くの軍人、装甲車、航空機と砲を失ったが、ウクライナ侵攻では「まだ軍の最大限の力を出していない」という。

「ロシアは総動員令を発しなかった。NATOを攻撃するために必要な場合に備えて軍事力を温存していると考えれば、ウクライナ侵攻以降にロシア軍が見せた『意外な弱さ』を説明できるかもしれない」

「たとえば、限られた空軍力しか使わなかったこと、戦力の逐次投入を行い、それも旧式の無誘導兵器システムを出してきたこと、サイバー攻撃が思ったより少ないこと、などだ」

「ロシアがやっていることの肝は、現状の打破だ。そう考えれば、NATO加盟国に対する攻撃の可能性は排除できない」

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は6月、NATO首脳に対して警告していた。「来年は、ウクライナだけでなく、他にも数カ国が攻撃されるかもしれない。そしてそれはNATO加盟国かもしれない」

NATOのリポートはゼレンスキーの主張を反映し、ロシア軍のこれまでの弱さに騙されてはいけないと警告する。「ウクライナ侵攻後、最初の数カ月にロシア軍が見せた弱さと人的・物的損失の大きさは逆に、NATO攻撃の際のロシア軍の余力を思わせる」

ニューズウィーク日本版 世界が尊敬する日本の小説36
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月16日/23日号(9月9日発売)は「世界が尊敬する日本の小説36」特集。優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送-米、ロ産石油輸入巡り対中関税課さず 欧州の行

ワールド

米中、TikTok巡り枠組み合意 首脳が19日の電

ワールド

イスラエルのガザ市攻撃「居住できなくする目的」、国

ワールド

米英、100億ドル超の経済協定発表へ トランプ氏訪
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中