最新記事

エネルギー

ロシア、ノルドストリーム1のガス供給さらに削減し8割減へ 戦場越えて影響拡大

2022年7月26日(火)10時05分
ノルドストリーム1のガスパイプライン

ロシアとウクライナが国連などの仲介で穀物輸出を巡り合意したことを受け、25日は週内にも黒海経由の穀物輸出が再開されるとの期待が高まった。写真はガスパイプライン「ノルドストリーム1」。3月撮影(2022年 ロイター/Hannibal Hanschke)

ロシアウクライナが国連などの仲介で穀物輸出を巡り合意したことを受け、25日は週内にも黒海経由の穀物輸出が再開されるとの期待が高まった。一方、ロシアは欧州向けガスパイプライン「ノルドストリーム1」の供給量がさらに減少すると表明。6カ月目に入ったロシアによるウクライナ侵攻による経済的な影響は、ウクライナの戦場を越えて広まっている。

ロシア産天然ガス、一段の供給減

ロシア国営ガスプロムは25日、ノルドストリーム1について、タービン1基を追加的に停止させるため供給量が減少すると表明。ノルドストリーム1を通した供給量は、27日から日量3300万立方メートルに減少する。供給量は現時点ですでに従来水準の40%に減少しており、今回の発表で現在の水準からさらに半減する。

ロシア大統領府は供給量の減少はメンテナンス作業と西側諸国の制裁措置に起因すると指摘。ただドイツ経済省報道官は、ノルドストリーム1経由のガス供給量が減少する技術的な要因はないとの見方を示した。

また、独シーメンス・エナジーはノルドストリーム1のタービンをロシア側に引き渡す用意が整っているものの、ロシア国営ガスプロムGAZP.MMから必要な税関書類を受け取っていないと明らかにした。シーメンスはタービンのメンテナンスは定期的に行われているが、過去10年間、メンテナンスを巡る大きな問題は起きていなかったとしている。

黒海経由の穀物輸出、週内再開に期待

ロシアとウクライナは22日、国連とトルコの仲介の下、ウクライナに滞留する穀物の輸出再開に向けた合意文書に署名。これを受け、ウクライナ政府当局者はこの日、週内に輸出を再開したいとの考えを示した。

ウクライナ政府当局者はキーウ(キエフ)で行った記者会見で、同合意に基づく穀物輸出が週内にオデーサ(オデッサ)州のチョルノモルスク港から再開され、2週間以内に合意に含まれる全ての港からの輸出が再開できるよう望んでいると述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米の日鉄投資計画承認、日米の経済関係強化につながる

ワールド

米空母、南シナ海から西進 中東情勢緊迫化

ビジネス

ECB、政策の柔軟性維持すべき 不確実性高い=独連

ワールド

韓国、対米通商交渉で作業部会立ち上げ 戦略立案へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 7
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中