ジョニー・デップ裁判で証言した私が体感した彼の本質

'I Testified in the Heard vs. Depp Trial. The Backlash Has Been Horrific'

2022年6月9日(木)18時59分
デービッド・スピーゲル(精神科医)

私を攻撃してきた人々には、あなた方は本当のデップを知らないし、それと同じように本当の私も知らないのだと言いたい。これが私のキャリアで、私の仕事だ。私は「人の感情を相手にする」仕事をしているから、人々が感情を表現することは何とも思わない。でも私は今、人を傷つけるような有害な方法で感情を表現する人々に直面している。ひどい言葉を投げかけたり、証言台に立つ私のように見える大量のミームを拡散したりする人々だ。

私の証言が気に入らないとか、私の指摘が短絡的だとか言いたいならば、それを言う適切な方法があることを忘れないでほしい。私はこの分野の専門家だ。デップの映像の切り抜きを1本見ただけで判断や評価を下した訳ではない。

裁判の結果を受けて、世間から「悪女」と思われることになってしまったアンバー・ハードの心が癒されることを願っている。今回の裁判は多くの意味で、私にとっていい経験になった。もしも裁判での証言や反対尋問が、純粋に私の専門分野だけを考えればいいもので、首尾よく終わっていたら、今後も注目を集める裁判で専門家として証言するかという問いに100%「イエス」と答えるだろう。だが今では、60/40の割合で「ノー」の方に傾いている。

これまでの人生で、これほどの膨大な量の憎悪の対象にされたことは一度もなかった。それについての自分の感情は処理していける。それでも、自分がこれほどの憎悪や敵意を「受け取る側」に立たされたという思いは、決して消えることはないだろう。

聞き手・ジェニー・ハワード(本誌記者)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

「経済あっての財政」が基本、戦略的に財政出動 高市

ワールド

英財務相、所得税引き上げ検討 財政赤字削減で=ガー

ビジネス

米パラマウント、ワーナー・ブラザーズ買収で最有力か

ワールド

金価格10週ぶり下落へ、ドル高重し 米CPI控えポ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 2
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシアに続くのは意外な「あの国」!?
  • 3
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼稚園をロシアが攻撃 「惨劇の様子」を捉えた映像が話題に
  • 4
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 5
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 6
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 7
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 8
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 9
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 10
    「石炭の時代は終わった」南アジア4カ国で進む、知ら…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 10
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中