最新記事

台湾有事

アメリカは「どこまで」台湾を守るか

Will U.S. Defend Taiwan if China Invades? Experts Weigh In

2022年6月6日(月)18時19分
ジョン・フェン(本誌記者)

バイデンは「あいまい戦略」を放棄した?(5月24日、東京で開かれた日米豪印首脳会議で) Jonathan Ernst-REUTERS

<ウクライナ侵攻が始まって以来、米議会の議員たちは中国がいつ同じような行動に出るか、そのときアメリカはどう対抗するのか、という疑問についての政府の見解を問い続けてきた>

昨年末、中国北西部の砂漠に米海軍の空母の形をした実物大模型が設置されていることが、民間衛星による画像で明らかになった。これによって、中国が台湾をめぐる将来の戦いにおいて米軍と交戦する準備を積極的に進めていることを、多くの人が確信した。 

これまで一度も統治したことのない台湾の領有権を数十年にわたり主張し続けてきた中国は、冷戦時代の前半、朝鮮半島や台湾海峡でアメリカと対峙してきたてきた。

1979年の米中国交正常化から10年以上が経過した90年代半ばに起きた中台危機でも、人民解放軍による侵略を抑止したのは米海軍だった。

それから30年近く経った今、台湾海峡を挟んだパワーバランスは大きく変化した。米国防総省の高官や台湾の安全保障担当者は、中国には最終的に台湾を奪取する能力を構築する意図があると見ている。それは次の台湾海峡危機にアメリカが介入するかどうかは関係ない。

専門家は本誌に対し、中国による台湾侵略が起きた場合、アメリカは軍事的に反応する可能性が高いが、その正確な内容を予測することは困難だと語る。

1979年に台湾との正式な外交関係を解消して以来、米政府は40年以上にわたって手の内を見せずにいる。

台湾関係法とは

当時、まだ地元デラウェア州選出の下級議員だったジョー・バイデンは、台湾との非公式な関係を規定する法案である台湾関係法の可決に賛成した。この法律は、現政権高官に「議会史上、最も重要な外交政策の一つ」と評されたことがある。

この法律には、中国に対する台湾の自衛能力を維持するために、アメリカが台湾に防衛用の武器を送ることを義務付ける重要な条項がある。

また、この法律は「台湾の安全保障や社会・経済システムを危うくする武力行使やその他の強制に抵抗する能力を維持する」ことをアメリカに要求している。アントニー・ブリンケン国務長官は5月末の演説で、この点を改めて取り上げ、台湾が十分な自衛の能力を維持できるよう支援すると語った。

重要なのは、過去の台湾海峡危機で米軍が軍事的対応をしたケースがあったにもかからず、台湾関係法には中国が台湾を攻撃した場合にアメリカが台湾の安全を保障する条項が含まれていない点だ。

台湾はアメリカにとって第8位の貿易相手国であり、両者は密接な関係にあることから、台湾危機が発生すれば、少なくともアメリカからの武器移転は迅速に行われる可能性があるとアナリストは見ている。

だがバイデン本人および一部の高官は、特にウクライナでの戦争勃発以降、アメリカにはもっとできることがあるのではないかということを匂わせている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EU、グリーンランド支持 国際法違反容認せず=コス

ワールド

トランプ氏、グリーンランド購入巡り活発な協議 NA

ワールド

ゼレンスキー氏、トランプ氏との会談を希望 「安全の

ワールド

米、ベネズエラ安定化・復興へ3段階計画 国務長官が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 5
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 6
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが…
  • 7
    公開されたエプスタイン疑惑の写真に「元大統領」が…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 10
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 10
    感じのいい人が「寒いですね」にチョイ足ししている…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中