最新記事

ロシア

ロシア各地で相次ぐ「不可解」な火災...今度はクルスクで大規模火災が撮影される

Mysterious Fire in Kursk, Russia as Videos Show Huge Tower of Black Smoke

2022年5月6日(金)17時28分
イザベル・ファン・ブリューゲン
クルスクの火災

@DemeryUK/Twitter

<ウクライナ侵攻後、ロシア各地の重要施設で原因不明の大規模火災が相次いで発生。当局は詳細を明らかにしていないが、ウクライナが関与していると非難している>

ウクライナでの戦闘が激化するなか、ロシアでは貯油施設など重要なインフラ施設における原因不明の火災が頻発しているが、またもや不可解な大規模火災が発生した。今回の現場は、ウクライナと国境を接するロシア南西部の都市クルスクだ。

5月5日にソーシャルメディアで拡散した動画には、巨大な炎と黒い煙が建物を包み込む様子が映っている。ここ数週間、ロシアで頻発している原因不明の大規模火災の一つと見られる。ウクライナの報道機関TSNは、この火災はロシア非常事態省によって確認されたと伝えている。

地元メディアは当初、住宅が燃えていると報じていたが、非常事態省はこれらの報道を誤りとしたうえで、非・住宅地が燃えていると発表した。クルスクからの情報によれば、この火災は現地時間午後1時15分に報告され、約20人の消防士と4台の消防車によって消火活動が行われた。

その後、午後2時までに400平方メートルが燃えたとTSNは報じ、周囲の枯れ草にも燃え広がったと補足した。その規模は非常に大きく、クルスクのほぼ全域から見ることができたという。

複数の報道によれば、クルスク市民は爆発音を聞いていないようだ。また、死傷者の有無はまだ明らかになっていない。

3日には政府寄り出版社の倉庫で大規模火災

最近、相次いで発生している火災の一部について、ロシアはウクライナの責任だと非難しているが、ウクライナ側は関与を否定している。

3日深夜には、モスクワ州の都市ノギンスクで大規模火災が発生した。ベラルーシの報道機関ネクスタの第一報によれば、火災はロシア政府寄りの出版社「プロスウェスチニア(「啓蒙」)」の倉庫で発生したもので、倉庫には教科書などの印刷物が保管されていたという。

ソーシャルメディアに投稿された動画には、建物を包む巨大な炎や、塔のように立ち上る煙、消火活動を行う消防隊が映し出されている。

ロシアの独立系メディア「メディア・ゾナ」によれば、2月にロシアがウクライナに侵攻したとき、この出版社は即座に従業員に対し、ウクライナとその首都キーウに関する「不適切な」記述を教科書から削除するよう指示していた。メディア・ゾナの取材に対し、ある従業員は匿名を条件に、「私たちの仕事は、まるでウクライナが存在しないかのように見せかけることだ」と語っている。

ここ数週間、ロシア最大の化学工場、貯蔵所、防衛研究所といった重要な施設で、原因不明の火災や爆発が起きている。こうした不可解な火災の原因について、現在のところロシアは詳細を明らかにしていない。
(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

12月FOMCでの利下げ見送り観測高まる、モルガン

ワールド

トランプ氏、チェイニー元副大統領の追悼式に招待され

ビジネス

クックFRB理事、資産価格急落リスクを指摘 連鎖悪

ビジネス

米クリーブランド連銀総裁、インフレ高止まりに注視 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 6
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中