最新記事

ウクライナ侵攻

ゼレンスキー「ロシア兵の遺体の腐臭で息もできない」

Zelensky Accuses Putin of Abandoning Dead Soldiers: 'Impossible to Breathe'

2022年3月29日(火)15時49分
ナタリー・コラロッシ

ウクライナ国民に語りかけ、鼓舞するゼレンスキー大統領(キエフ、3月28日) Ukrainian Presidential Press Service/REUTERS

<一部の戦場では、埋葬もせず置き去りにされたロシア兵の遺体の臭いがひどくて息もできない、これが侵略者のやり方だと、ゼレンスキーはロシア軍の兵士の扱いを非難した>

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、自国の兵士たちの遺体を放置していると非難。ウクライナの一部の地域では、ロシア兵の遺体の腐敗臭がひどくて「息ができない」状態だと述べた。

ゼレンスキーは3月27日発行のエコノミスト誌のインタビューの中で、「侵略者たちは、自分たちの側に出た犠牲者を悼むことさえしない」と批判した。

「私には理解できない。この1カ月で、約1万5000人のロシア兵が死亡しているが......プーチンは彼らの遺体を蒸気機関車の火室に投げ込む薪のように扱っている。遺体は埋葬さえされず、路上に置き去りにされている。ウクライナ軍の複数の兵士によれば、一部の小さな都市では、ロシア兵の遺体の腐敗臭がひどくて息もできない状態だということだ」

さらにゼレンスキーは、プーチンがロシア兵に対して敬意を欠く扱いをしているのに対して、ウクライナ軍は「恐れを知ることなく」国を守るための戦いを続けながら、死傷した兵士たちにきちんと対応していると主張した。

死傷者の扱いが「根本的に異なる」

「兵士たちによれば、戦闘中に仲間が死亡した場合は、そこにとどまって遺体を埋葬しなければならず、負傷した者がいれば、彼らの命を救わなければならない。命がある限り、彼らを守らなければならないということだ。これが、ロシア側と我々の根本的な違いだ」

ロシアがウクライナ侵攻を開始して、1カ月以上が経過した。この間に戦死したロシア兵の数は、過去20年に戦死した米兵の数を上回っている。NATOのある高官は先週、これまでに7000人から1万5000人のロシア兵が死亡し、そのほかに負傷したり、捕らえられたり、行方が分からなくなったりした兵士が数万人にのぼると推定している。

ロシアはこれに異論を唱えており、3月25日までに死亡したロシア兵の数は、わずか1351人だとしている。

ウクライナ側の戦死者については、ゼレンスキーが3月12日の記者会見で、ロシアによる侵攻開始以降で1300人の兵士が死亡したと発表していた。だがAP通信によれば、アメリカはこれまでのところ、ウクライナ軍の兵士の死者数について、推定値を公表していない。

今回の戦闘では、戦死したロシア軍の指揮官の数も、歴史的な水準に達している。これまでに少なくとも7人の将官が死亡したと伝えられており、ワシントン・ポスト紙によれば、わずか1カ月でこれほどの数の将官が死亡したのは、第二次世界大戦以降でほかに例がないということだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結

ワールド

英、中東に戦闘機を移動 地域の安全保障支援へ=スタ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されずに「信頼できない人」を見抜く方法
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 7
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中