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日本社会

著述業、農業は80%以上......職業別フリーランス比率ランキング 

2022年3月23日(水)10時40分
舞田敏彦(教育社会学者)

以上は適当に抽出した6つの職業だが、原資料から230の職業のフリーランス率を算出して分布をとると、10%に満たない職業が116と多くを占める。一方で値が高い職業もある。先ほどみた著述家はその典型で、50%(半分)を超える職業を示すと<表1>のようになる。

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会社に属さず、自分の腕で食べている人が多い職業だ。首位は個人経営の店主、2位は海藻・貝採取従事者、3位は美術家、4位は著述家となっている。農業従事者も多くは個人経営で、高齢の零細個人農家で日本の農業は支えられている。大工も半数以上がフリーランス(一人親方)だ。

会社に雇われて働きたくない、自由な働き方をしたい。こういう志を持つ若者、ないしは脱サラを考えている人も少なくないが、フリーランスで食べていくのは容易でなく、所得分布を見ると全体の6割、女性に至っては8割が200万円未満だ(総務省『就業構造基本調査』2017年)。対価の給与不払いなどにもよるだろう。厚労省のパワハラ防止指針を見ても、保護の対象は会社員でフリーランスは除外されている。

フリーランスは一般的な働き方とは認められていないように思えるが、今後の知識基盤社会・IT社会ではこういう働き方も増えてくる。今の子どもに将来何になりたいかを問うと、クリエイターとかユーチューバーとかいう答えが返ってくるが、こういう仕事の働き方の多くはフリーランスだ。

子どもたちが大人になる未来にまで、旧態依然の慣行を持ち越してはならない。国外から見れば理解不能な、従業地位による差別は撤廃すべきだ。学校でも、特殊な事項を教授するフリーランス教師が教壇に立つようになるかもしれない。教員不足を解消するには、働き方を極限まで柔軟化する必要もある。

<資料:総務省『国勢調査』(2015年)

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