最新記事

ウクライナ侵攻

<独占>キエフ陥落は数日以内(米当局者)

Exclusive: US Expects Kyiv to Fall in Days as Ukraine Source Warns of Encirclement

2022年2月25日(金)17時08分
ナビード・ジャマリ、デービッド・ブレナン、トム・オコナー

つい2日まで、美しく平和だったウクライナの首都キエフ(写真は2月14日) Antonio Bronic-REUTERS

<プーチンに突如、踏み躙られた首都キエフの日常。民主的なウクライナ指導部が排除され、親ロ派の傀儡政権に取って代わられる日も近いかもしれない>

ロシアは2月24日、ウクライナへの軍事侵攻に踏み切った。3人の米当局者は本誌に対して、ウクライナの首都キエフが数日以内に陥落し、同国の抵抗は事実上、すぐに無力化されるだろうとの見通しを示した。

3人の当局者(匿名)は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナを「非武装化」するための「特別軍事作戦」に言及したことに注目し、ロシアはウクライナ軍の部隊を囲い込み、降伏させるか破壊するつもりだと指摘。キエフは96時間以内に陥落し、約1週間後にはウクライナ指導部もロシアの手に落ちるだろうと予測した。

ロシア軍は、ウクライナの政府および軍の関連施設を相次いで攻撃し、地上部隊はチェルノブイリ原発をはじめとする戦略拠点の占拠したと報じられている。しかもこうした作戦は「初期段階」にすぎず、今後さらに包括的な地上作戦が展開される見通しだ。

米情報機関の元高官で、ロシア対応の経験が豊富な人物も、同様の見方を示した。

「空からの攻撃や砲撃が終わり、本格的な地上戦が始まれば、キエフはわずか数日で陥落するだろう」と、この元高官(匿名)は本誌に語った。「ウクライナ軍はもう少し持ちこたえるかもしれないが、それも長くはないだろう」

「予想以上に持ちこたえているが」

元高官はまた、「次の段階」がどうなるかは、ジョー・バイデン米大統領が、ウクライナ指導部に代わる反ロシア勢力をどこまでテコ入れするかによって決まるだろうと指摘した。「現地での反ロシア勢力の勢いが大きなものになるかどうかはバイデン次第の部分が大きい」と述べた。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に近いある情報筋(匿名)は、キエフが今後96時間以内に包囲される可能性があるという点ではアメリカの見方に同意するが、ゼレンスキー政権が崩壊するとは考えていない。ウクライナ政府はロシアの包囲網を突破できるのかという本誌の質問に対して、この人物は次のように述べた。「まだ答えを出すには早い。ウクライナは、予想以上に持ちこたえている」

NATOのある外交当局者(匿名)は、キエフ陥落に関するアメリカの見方について、本誌にこう語った。「個人的には、残念ながら信ぴょう性の高い見方に思える。最初の24時間が最も重要になってくると思う」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

フランス、米を非難 ブルトン元欧州委員へのビザ発給

ワールド

米東部の高齢者施設で爆発、2人死亡・20人負傷 ガ

ワールド

英BP、カストロール株式65%を投資会社に売却へ 

ワールド

アングル:トランプ大統領がグリーンランドを欲しがる
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中