最新記事

ウクライナ情勢

ロシアの標的は首都キエフか ウクライナ各地で戦闘続く、大統領が総動員令

2022年2月25日(金)09時53分
煙の上がるウクライナ首都キエフ市内

ウクライナ政府は、ロシアが本格的なウクライナ侵攻を開始した24日に57人が死亡し、169人が負傷したと明らかにした。米国防当局者はロシアの攻撃の主要な標的は首都キエフとの見方を示した。写真は煙の上がるキエフ市内(2022年 ロイター/Valentyn Ogirenko)

ウクライナ政府は、ロシアが本格的なウクライナ侵攻を開始した24日に57人が死亡し、169人が負傷したと明らかにした。戦闘はウクライナ東部のほか、北部と南部でも続いている。米国防当局者はロシアの攻撃の主要な標的は首都キエフとの見方を示した。

ロシアのプーチン大統領は24日未明に軍事作戦開始を表明。キエフなどでは爆発や銃声が続き、合わせて70人が死亡したとの情報もある。

ウクライナ国境警備隊によると、ロシア軍はロシア、ベラルーシ、クリミアから攻撃を仕掛けた。ロシア部隊はその後、国境を越え北部チェルニヒウ、北東部ハリコフ、東部ルガンスクの各地域に入った。南部黒海沿いの都市オデッサやマリウポリにも侵攻したという。

ロシア軍は同日、ウクライナにある陸上の標的83カ所を破壊し、攻撃目標を達成したと、インタファクス通信が報じた。

バイデン米大統領は、対ロ追加制裁措置を発表。ロシア第2位のVTB銀行など新たに4行を制裁対象とし、ドルや円、ユーロ、ポンドでビジネス取引を行う能力を制限する。また、ロシアへのハイテク製品輸出も禁止し、ロシアのハイテク輸入が半分以上減少するという見通しを示した。

バイデン氏は、ウクライナ侵攻が「計画的な攻撃」だと強調。「プーチン大統領は侵略者で、この戦争を選んだ」とし、西側諸国が目指していた対話を拒み、国際法に違反したと批判した。

これに対し、プーチン大統領は、安全保障を巡る状況を変える政府の試みが全て無に帰したことから特別軍事作戦を命じるほか選択肢はなかったとし、「何らかの形で制裁への備えはできている」と語った。

各地からの映像によると、激しい戦闘は各地で日没後も続いた。ウクライナのゼレンスキー大統領は「国家防衛を確保するため」として、90日間の総動員令を命じた。

国連によると、推定10万人のウクライナ国民が避難を強いられた。ルーマニア、モルドバ、ポーランド、ハンガリーなどの周辺国に数千人が逃れたという。

首都キエフに進軍か

ウクライナ大統領府は、ロシア軍が北部のチェルノブイリ原子力発電所を掌握したと明らかにした。ポドリャク大統領顧問は「ロシアによる全く無意味な攻撃を受け、チェルノブイリ原子力発電所が安全と断言するのは不可能」とし、「欧州における最も深刻な脅威の一つだ」と述べた。

このほか、ロシア軍は南部ヘルソン地域の一部を掌握したほか、キエフ近郊のホストメル空港にはパラシュート部隊を投入して制圧したという。

米国防当局者は、ロシアによるウクライナ侵攻はウクライナ政権打倒が狙いで、攻撃の主要な標的は首都キエフだと確信していると明らかにした。

G7は協調して制裁実施へ

主要7カ国(G7)は24日、ロシアによるウクライナ侵攻を強く非難した上で、ロシアに対する厳格かつ協調した経済・金融制裁を実施すると発表した。

共同声明で「今回の危機は規則に基づく国際秩序に対する深刻な脅威であり、その影響は欧州をはるかに超えている」と指摘。ロシアのプーチン大統領が欧州大陸に再び戦争をもたらしたとの見解を示した。

ロシア大統領府は、プーチン大統領がマクロン仏大統領と電話会談し、ウクライナにおけるロシアの行動の理由を「徹底的」に説明したと明らかにした。

仏大統領府によると、マクロン大統領はウクライナにおける軍事作戦を即時停止するよう求め、「大規模な制裁に直面することになる」と警告した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ウクライナ危機で分断される欧州 米と連携強める英 宥和政策の独 独自外交唱える仏
・【ウクライナ侵攻軍事シナリオ】ロシア軍の破壊的ミサイルがキエフ上空も圧倒し、西側は手も足も出ない
・バイデン政権、ロシアのウクライナ侵攻準備を懸念「偽旗作戦の工作員が配置された」
・経済を理解しなければ、ウクライナでプーチンが「賭けに出る」理由は分からない


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

アップル、低価格「MacBook Neo」発表 ク

ワールド

英首相、中東紛争で「冷静」な対応強調 トランプ氏の

ワールド

中国、2026年経済成長率目標を4.5─5%に設定

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、中東の緊迫長期化への過度
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    「外国人が増え、犯罪は減った」という現実もあるの…
  • 6
    「イランはどこ?」2000人のアメリカ人が指差した場…
  • 7
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウク…
  • 10
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 9
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 10
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中