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教員数が多いはずの日本で、教員の「知り合い」が少ない理由

2022年2月24日(木)19時00分
舞田敏彦(教育社会学者)

教員と並ぶ専門職として、弁護士の知り合いがいるかも尋ねられている。日本人のうち、自分の人間関係の中に弁護士がいると答えたのは17.7%だが、アメリカでは57.9%もいる。さすがは訴訟社会だ。横軸に教員、縦軸に弁護士の知り合いがいる人の割合をとった座標上に、30の国を配置すると<図2>のようになる。

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教員や弁護士と関係を持っている国民の割合だが、日本は他国と比べると低い。対極のアイスランドでは、これらの専門職の知り合いがいる人は全体の8割を超える。欧米の主要国は5~7割だが、日本よりはずっと高い。

教員と弁護士。わが子の教育を託し、トラブルに遭遇した時に味方になってくれる専門職だが、日本では一般市民とあまり馴染みがないようだ。教員の事情は上述の通りだが、弁護士については裁判沙汰が好まれないと同時に、弁護士の数が少ないというのもある。弁護士1人あたりの国民数は、アメリカでは260人なのに対し、日本では3075人だ(2019年、日弁連資料)。

専門職(プロフェッショナル)というのは、高度な知識や技術を駆使して、社会に貢献することを期待される職業だ。弁護士の仕事は訴訟案件だけではなく、今後は終活や公的扶助の受給手続きの支援といった業務への需要が増えてくるだろう。市民から隔たっている日本の専門職の現状は、高度な「知」を活用しきれていない(浪費している)ということでもある。

<資料:「Social Networks and Social Resources - ISSP 2017」

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