最新記事

ウクライナ情勢

ロシア傭兵がウクライナでの動きを活発化 侵攻の口実を作る狙いか

2022年2月15日(火)17時32分
ウクライナ国旗

ロシア情報機関とつながりのあるロシアの傭兵がここ数週間にウクライナで動きを活発化させており、一部の北大西洋条約機構(NATO)加盟国の間ではロシアが侵攻の口実を作ろうとするのではないかという懸念が強まっている。写真はウクライナの旗。キエフで2016年3月撮影(2022年 ロイター/Valentyn Ogirenko)

ロシア情報機関とつながりのあるロシアの傭兵がここ数週間にウクライナで動きを活発化させており、一部の北大西洋条約機構(NATO)加盟国の間ではロシアが侵攻の口実を作ろうとするのではないかという懸念が強まっている。西側治安当局の高官3人がロイターに明らかにした。

高官らによると、ロシアがウクライナに侵攻する前に、情報戦や電力・ガス網などウクライナの重要インフラに対するサイバー攻撃が行われるのではないかとの懸念がこの数週間で強まっている。

ロシアが傭兵を使って不和を招き、標的の暗殺や特殊兵器の使用によってウクライナをまひさせる可能性もあるという。

米国は13日、ロシアが侵攻を正当化するため「偽旗作戦」(敵になりすまして行われる作戦)を展開する恐れがあると改めて警告した。

西側関係筋の1人は「ロシアの傭兵が同国政府の指示の下、ウクライナでの敵対行為に関与する可能性が高く、侵攻の口実を作る可能性もある」と語った。

関係筋らによると、傭兵は旧ソ連国家保安委員会(KGB)の主要な後身機関、ロシア連邦保安庁(FSB)やロシア軍参謀本部情報総局(GRU)と密接なつながりを持つロシアの民間軍事会社から派遣されている。

ここ数週間に派遣された傭兵には、元GRU関係者で民間軍事会社ワグネルで働いたこともある人物が含まれており、この人物は親ロシアの分離独立派が2014年から実効支配しているウクライナ東部ドネツクに向かったという。

ロイターはこの人物がどのような任務を課されたか確認できていない。ワグネルのコメントも得られていない。

ロシア大統領府はロイターに対し14日、ロシアはウクライナの領土でプレゼンスを強めておらず、ロシアの部隊はこれまでも現在もウクライナ領土にはいないと述べた。

ロシア国防省は11日、西側関係筋の主張に関する書面での質問に対しコメントを控えた。

関係筋によると、ロシアの傭兵会社はウクライナ東部の親ロシア武装勢力に武器や特殊作戦要員、軍事訓練などを提供してきた。

ワグネルの一部工作員はロシア南部クラスノダール近郊のGRU基地で訓練を受けた後、ウクライナ国境に送り込まれたという。

ロイターはウクライナ東部における傭兵の活動について独自に情報を検証できていない。

関係筋によると、FSBやGRUとつながりのある他のロシア傭兵会社も今年に入ってウクライナでの活動を活発化させているという。

ハイブリッド戦争

複数の米当局者がロイターに明らかにしたところによると、米国はロシアが侵攻に先立ち、ウクライナ政府の正当性を損なうために傭兵や特殊作戦部隊、その他グレーゾーンの戦法を使う可能性があると警戒している。

米国防総省はロイターの取材に対し、ロシアが侵攻の口実をでっち上げようとしているというカービー報道官の今月のコメントに言及した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ウクライナ危機で分断される欧州 米と連携強める英 宥和政策の独 独自外交唱える仏
・【ウクライナ侵攻軍事シナリオ】ロシア軍の破壊的ミサイルがキエフ上空も圧倒し、西側は手も足も出ない
・バイデン政権、ロシアのウクライナ侵攻準備を懸念「偽旗作戦の工作員が配置された」


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米2月ADP民間雇用、予想上回る6.3万人増 過去

ワールド

イラン軍艦がスリランカ沖で沈没、米潜水艦が攻撃 少

ビジネス

フィッチ、インドネシア見通し「ネガティブ」に下げ 

ワールド

中国政協開幕、軍トップ張氏ら政治局員2人が姿見せず
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    「外国人が増え、犯罪は減った」という現実もあるの…
  • 5
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 6
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 7
    戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウク…
  • 8
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 9
    イランへの直接攻撃は世界を変えた...秩序が崩壊する…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 10
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中