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ビットコイン長期保有者、ついに「利確」開始か...オンチェーン分析で明らかに

2022年1月27日(木)17時00分
千野剛司(クラーケン・ジャパン代表)

しかし2021年11月、トレンドが変わりました。古いコインの割合は0.51ポイントマイナスになる一方、若いコインの割合は0.29ポイントプラスになりました。これは、すぐに市場で売買できるビットコインが増えたことを意味し、以前からのクラーケン・インテリジェンスの分析であった「サプライショック」からは遠ざかったことになります。

ネットワーク上での活動も鈍化

ビットコインのネットワーク上における活動も鈍化しました。月間アクティブアドレス数の変化を見てみましょう。月間アクティブアドレスは、過去30日間で送金など取引が行われたアドレスの総数です。

2021年11月以降、ビットコインの月間アクティブアドレス数は減少トレンドに転じました。
下のグラフによりますと、2021年11月5日以降、ビットコインの月間アクティブアドレス数は1834万アドレスから1677万アドレスへと8.6%減少しました。2021年1月の水準と比較すると、24%のマイナスです。ビットコインのモメンタム(勢い)の低下を示しているかもしれません。

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(出典: Kraken Intelligence, Coin Metrics「ビットコインの月間アクティブアドレス数」)

イーサリアムの月間アドレス数も同じような傾向を見せています。

イーサリアムの月間アドレス数は、2021年1月の770万アドレスから7.5%減少。2021年5月のピーク時から比較すると40.6%のマイナスでした。2021年11月中旬の水準と比較すると14.3%のマイナスで、2ヵ月続いた上昇トレンドが終わりました。イーサリアムに対するマーケットへの需要が低下傾向にあることが分かります。

220125kr_ocr04.jpg

(出典:Kraken Intelligence, Coin Metrics「イーサリアムの月間アクティブアドレス数」)

2021年11月以降、オンチェーン上の動きを見てみますと、長期保有者がトーンダウンし、ネットワーク活動が鈍化したのが分かりました。ビットコインの価格は、FRB(米連邦準備理事会)が今後のテーパリングの加速や利上げなどを示唆したFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録が公開された12月15日以降、さらに下落しました。米国の利上げによるビットコインへの影響について、仮想通貨市場参加者が懸念している可能性があります。

ただ、今回の落ち込みが一時的であり長期的な上昇トレンドにおける「健全な調整」である可能性もあります。弱気相場へのトレンド転換かどうか、もう少し見極める時間が必要でしょう。

参考:January 2022 Crypto On-Chain Digest

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