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次のウクライナに? カザフスタン情勢を、世界がこれほど憂慮する理由を解説

Will Kazakhstan Be Next?

2022年1月12日(水)17時47分
ケーシー・ミシェル(ジャーナリスト)

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カザフスタンに向かうロシア軍空挺部隊(1月6日) COLLECTIVE SECURITY TREATY ORGANISATIONーREUTERS

そもそもロシア政府が論理的に振る舞うと考える理由がない。18年近くも権力を握るプーチンは、自らをただの政治家ではなく、ロシアに国際的な名声を取り戻し、ロシアの領土だと自分が考える土地を取り戻せる歴史的な重要人物と見なし始めているようだ。ロシアが全方位から攻撃されていると思い込んだ彼は、自己欺瞞の帝国を築き上げた。

カザフスタンの騒乱は、ロシアが孤立しているというプーチンの懸念を強固なものにする。そしてプーチンの「歴史的義務」に「正当」なロシア領と見なされる土地の回復が含まれるなら、カザフスタン北部がロシア領になる可能性は急激に高まる。

今のところロシア政府はトカエフと共に、政権基盤の強化と、民主化改革を求める活動や思想の鎮圧に集中しているようだ。しかし、わずか数日でカザフスタンの状況が急転したことを考えれば、過去に除外された可能性が突如として復活することもあり得る。

ナザルバエフの遺産は瞬時に崩壊し、死者は増え、ロシア軍部隊がなだれ込んだ。カザフスタンが見た目だけでも保ってきた安定は、突如として危機を迎えている。

From Foreign Policy Magazine

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