最新記事

女子テニス

中国での大会中止、女子テニス協会の決定に世界のスターたちから称賛の声が続々

Tennis Stars Praise WTA's Steve Simon for Peng Shuai Withdrawal

2021年12月3日(金)17時00分
キャサリン・ファン
彭帥

Danny Moloshok-REUTERS

<選手と人権を守る強い姿勢を打ち出したWTAだが、煮え切らない態度の男子協会やIOCに対しては同様の行動を促す声があがっている>

中国の女子テニス選手、彭帥の「失踪」問題を受け、女子テニス協会(WTA)のスティーブ・サイモン会長兼CEOは、中国と香港での大会をすべて中止すると決定した。この決定に対しては、世界の多くのテニス関係者が賛辞を送り、ほかの主要スポーツ団体も追随するよう求める声も高まっている。

テニス界のスーパースターで、WTAの創設者でもあるビリー・ジーン・キングは、サイモンの決断を「女子テニスが女子スポーツのリーダーであるひとつの理由」と呼んだ。

「スティーブ・サイモンと@WTAのリーダーたちが、中国と世界における人権を守るため、強硬姿勢を取ったことを称えたい。選手をサポートするという点で、WTAは歴史の流れに乗っている」とキングはツイートした。

4大大会で18度の優勝を誇るマルチナ・ナブラチロワも、サイモンが大会中止を決定したことを「勇敢な姿勢」と称賛。国際オリンピック委員会(IOC)に対しても、中国政府に対する行動を促した。

「スティーブ・サイモンとWTAは勇敢な姿勢を示した。私たちは、$(お金)より原則を優先し、世界中の女性、特に彭帥のために立ち上がった」とナブラチロワは書いている。「さあ、@IOCの言い分は?!? #IOCよ、今のところ、ほとんど何も聞こえて来ていませんよ!!!」

そんな場所に選手を行かせられない

テニス選手として世界の頂点に立ったアメリカのクリス・エバートは、WTAの姿勢がテニス界の外側まで波及し、影響力のあるさまざまなグループが中国に圧力をかけることを期待している。

「スティーブ・サイモンと@WTAが成し遂げたことを誇りに思う......。テニスやほかのスポーツ、さらには実業界の有力者が後に続くことを願っている......。では、彭帥を探すことに集中しよう......」とエバートはツイートしている。

サイモンは12月1日、中国政府が彭を巡る論争にもっと真剣に取り組むまで、WTAは中国と香港でのイベントをすべて中止すると発表した。彭はオリンピックに3度出場したテニス選手で、中国政府の高官から性的暴行を受けたと主張した後、公の場から姿を消した。

サイモンは声明の中で、「彭帥が自由に発言することを許されず、性的暴行の主張を撤回するよう圧力をかけられていると見られる状況において、選手たちにその場所に行き、大会に参加するよう求めることはできない」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、FRBが金利据え置き

ビジネス

FRB、5会合連続で金利据え置き トランプ氏任命の

ビジネス

情報BOX:パウエル米FRB議長の会見要旨

ワールド

銅に50%関税、トランプ氏が署名 8月1日発効
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 3
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い」国はどこ?
  • 4
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 5
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 6
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「自衛しなさすぎ...」iPhone利用者は「詐欺に引っか…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 8
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 9
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中