最新記事

コロナ治療

<最新研究>モノクローナル抗体で重症化率と死亡率が大幅に低下

Monoclonal Antibody Study Drives Seven-Fold Increase in COVID Treatment

2021年9月9日(木)17時20分
キャサリン・ファン

モノクローナル抗体薬はトランプ前大統領に投与されたことでも話題になった Yara Nardi-REUTERS

米ピッツバーグ大学医療センター(UPMC)がホワイトハウスの新型コロナウイルス対策チームと協力して実施した研究で、新型コロナ感染症の患者に早い段階でモノクローナル抗体を投与することで、重症化率や死亡率を大幅に低下させることができるという結果が出た。この結果、UPMCの臨床試験でこの治療を受けられる患者は7.5倍に増えたと、UPMCの感染症専門薬剤師エリン・マクリーリーは9月8日のプレスリリースで発表した。

モノクローナル抗体は、通常の抗体と同じようにウイルスと結合することで効果を発揮するが、ウイルスの特定の部分(今回の場合は新型コロナウイルスのスパイクタンパク質)を認識して結合する。ウイルスを覆うこのスパイクタンパク質を標的にすることで、ウイルスがヒトの細胞に結合して侵入し、感染させるのを防ぐ仕組みだ。

「現時点での最善策」

研究では3月10日〜6月25日、UPMCの患者5000人超に対してモノクローナル抗体治療薬を投与。分析の結果、米食品医薬品局(FDA)の緊急使用許可を得ている製薬大手イーライリリーのモノクローナル抗体製剤――バムラニビマブ/エテセビマブ併用剤とカシリビマブ/イムデビマブ併用剤(いわゆる抗体カクテル)――が安全で、有効性もほぼ同等であるという結果が示された。

FDAの緊急使用許可が下りた当初は、モノクローナル抗体の投与を受けられる患者はごく一部に限られていたが、研究では投与対象を広げて、この治療における人種格差を埋めることができたという。

研究報告の共著者でUPMCの最高革新責任者であるデレク・アンガス博士は、「今は世界中がなんとか新型コロナウイルスを抑制しようと闘っている」と述べ、さらにこう続けた。「新型コロナ感染症にかかった場合、重症化や死亡を防ぐ上で、現時点での最善策がモノクローナル抗体の投与だ」

今、あなたにオススメ

ニュース速報

ビジネス

IMF、ウクライナに総額156億ドル融資へ 理事会

ワールド

米、ウクライナに26億ドルの追加支援発表か=関係筋

ビジネス

NY外為市場=ドルが対ユーロで上昇、週間では5週連

ワールド

米大統領、ミシシッピ州の竜巻被災地を視察 復興支援

今、あなたにオススメ

MAGAZINE

特集:小泉悠×河東哲夫 ウクライナ戦争 超分析

2023年4月 4日号(3/28発売)

戦争の「天王山」/ウクライナ戦車旅団/プーチンの正体......。日本有数のロシア通である2人の特別対談・前編

メールマガジンのご登録はこちらから。

人気ランキング

  • 1

    生地越しにバストトップが... エムラタ、ばっさりショートに「透け過ぎ」衣装でベッドにごろり

  • 2

    北朝鮮軍の「エロい」訓練動画に世界が困惑!

  • 3

    女性兵士50人が犠牲に...北朝鮮軍が動揺した「鬼畜事件」

  • 4

    ロシアとの戦いで「ウクライナ軍は世界一の軍隊にな…

  • 5

    北朝鮮の「プリンセス」キム・ジュエ、栄養失調の国民よ…

  • 6

    「体が大きく曲がったクジラを目撃した!」──スペイン

  • 7

    モスクワ上空に不気味な「黒い輪」出現 正体めぐり…

  • 8

    ハリウッドの「モテ女」エミリー・ラタコウスキーが…

  • 9

    戦争の焦点は「ウクライナ軍のクリミア奪還作戦」へ…

  • 10

    【レア動画4選】ウクライナとロシア戦車の一騎討ち<…

  • 1

    生地越しにバストトップが... エムラタ、ばっさりショートに「透け過ぎ」衣装でベッドにごろり

  • 2

    大丈夫? 見えてない? テイラー・スウィフトのライブ衣装、きわどすぎて観客を心配させる

  • 3

    19歳のロシア女性「ヒグマが私を食べている!」と実況 人肉の味は親熊から仔熊に引き継がれる

  • 4

    「見られる価値のない体なんてない」 車椅子に乗った…

  • 5

    金融のドミノ倒し、次はドイツ銀行か

  • 6

    北朝鮮軍の「エロい」訓練動画に世界が困惑!

  • 7

    女性兵士50人が犠牲に...北朝鮮軍が動揺した「鬼畜事…

  • 8

    大事な部分を「羽根」で隠しただけ...米若手女優、ほ…

  • 9

    北朝鮮の「プリンセス」キム・ジュエ、栄養失調の国民よ…

  • 10

    「次は馬で出撃か?」 戦車不足のロシア、1940年代の…

  • 1

    大事な部分を「羽根」で隠しただけ...米若手女優、ほぼ丸見えドレスに「悪趣味」の声

  • 2

    推定「Zカップ」の人工乳房を着けて授業をした高校教師、大揉めの末に休職

  • 3

    【写真6枚】屋根裏に「謎の住居」を発見...その中には...

  • 4

    ざわつくスタバの駐車場、車の周りに人だかり 出て…

  • 5

    生地越しにバストトップが... エムラタ、ばっさりシ…

  • 6

    年金は何歳から受給するのが正解? 早死にしたら損だ…

  • 7

    【悲惨動画3選】素人ロシア兵の死にざま──とうとう…

  • 8

    プーチンの居場所は、愛人と暮らす森の中の「金ピカ…

  • 9

    ウクライナ軍兵士の凄技!自爆型ドローンがロシア戦…

  • 10

    「この世のものとは...」 シースルードレスだらけの…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中