最新記事

映画

レブロンの演技は一見の価値あり、『スペース・プレイヤーズ』は軽いが及第点

All Jammed Together

2021年8月27日(金)18時04分
サム・アダムズ(スレート誌映画担当)
『スペース・プレイヤーズ』

レブロン・ジェームズやバッグス・バニーが挑む「究極のeスポーツ・バトル」 WARNER BROS-SLATE

<夢の競演は超豪華なおもちゃ箱。NBAスターと人気キャラクターの強力タッグ『スペース・ジャム』第2弾>

ハリー・ポッター、ハーレイ・クイン、ヨギ・ベア、フレッド・フリントストーン、宇宙怪人ゴースト、マトリックス、スーパーマン、バットマン、キングコング、ピンクパンサー、殺人ピエロのペニーワイズ、夜の王(『ゲーム・オブ・スローンズ』)、メイドロボットのロジー(『宇宙家族ジェットソン』)......。

映画『スペース・プレイヤーズ』に登場するワーナー・ブラザースの歴代キャラクターは100を超えるが、その顔触れに法則性がないことは一目瞭然だ。

25年前に公開された『スペース・ジャム』は、マイケル・ジョーダン率いるNBAのスターがバッグス・バニーたちルーニー・テューンズ軍団とタッグを組んで、宇宙人と戦った。

2作目となる今回はレブロン・ジェームズと息子が、メディアコングロマリットの全ての知的所有物(つまりキャラクター)が存在するバーチャルワールド「ワーナー3000サーバーバース」に迷い込む。

彼らの前に立ちはだかる悪役は、ドン・チードル演じるアル・G・リズム。文字どおりワーナー・ブラザースのアルゴリズム(やり方)で、過小評価されてきた自分の功績を世間に認めてもらおうとしている。

しかし、手当たり次第に登場するアニメ帝国のキャラクターは、誰が選ばれて誰が選ばれなかったのか論理性がなく、アルゴリズムを感じない。

ジェームズのハリー・ポッター姿

アニメ作品は伝統的に、ある種の隠されたテクストが存在するものも少なくない。しかし本作は、ワーナー・ブラザースの豊かな歴史を見せつけるだけだ。

ジェームズがハリー・ポッターに扮してクィディッチのほうきにまたがり、スニッチを手に勝ち誇る姿も、J・K・ローリングが圧倒的な白人世界を描いたことに物申すわけではない。テーマパークで25ドルを払って撮影する記念写真のようなもの。

『時計じかけのオレンジ』のレイプ魔や夜の王が、スクービー・ドゥーやサンダーキャッツと肩を並べ、ジェームズたちの試合を応援する。

そんな寄せ集めのにぎやかしも、予告編で見るほどばかげてはいない。もっともその理由は、登場人物がデジタルなからくり人形というより、及第点のコスプレイヤーに見えるからなのだが。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中