最新記事

ドキュメンタリー

愛妻にバラバラ死体にされた日系御曹司...猟奇殺人事件の真相に迫る

Why Did She Do It?

2021年7月28日(水)18時56分
モリー・ミッチェル
殺人事件被害者のマルコスと加害者のエリーゼ

COURTESY NETFLIX

<実業家だった日系人男性が、不倫の末に結婚した女性に頭を撃たれ、7つに切断されて遺棄された事件を追う『エリーゼ・マツナガ』>

ネットフリックスで配信が始まった『エリーゼ・マツナガ:殺人犯が抱える心の闇』。服役中の殺人犯エリーゼ・マツナガに取材し、ブラジル全土に衝撃を与えた猟奇事件の真相に迫る話題作だ。

2012年5月19日、エリーゼはサンパウロの自宅で夫マルコスを射殺した。全4話のドキュメンタリーは悲劇に至るまでの2人の人生に光を当てる。

日系人の実業家マルコスは大手食品会社ヨキ創業者の孫で、エリーゼとは売春婦の紹介サイトで出会った。大学で法律を学んでいたエリーゼは、学費を稼ぐために「ケリー」の源氏名で体を売っていた。

マルコスは既婚者だったがエリーゼと関係を持ち、同棲を始めた。3年後に最初の妻との離婚が成立すると、2人は結婚。娘も生まれた。

ドキュメンタリーによれば、娘が生まれる前から夫婦仲はぎくしゃくしていた。マルコスの不倫を知り離婚するつもりだったと、エリーゼは述懐する。関係を修復したのは、妊娠が分かったからだった。

拳銃で撃ったうえ喉を切り裂く

だが娘の誕生から間もなく、夫はまたしても疑わしい行動を取り始める。エリーゼは当時42歳だったマルコスの頭部を拳銃で撃って殺害し、喉を切り裂いた。遺体は7つ──頭部、上半身、下腹部、四肢──に切断してゴミ袋に詰めた。犯行現場は家庭用の漂白剤で掃除した。

マンションの防犯カメラには5月20日の朝、3つの大型スーツケースを引いてエレベーターに乗るエリーゼが映っていた。マルコスが最後に目撃されたのは19日の晩で、ロビーで宅配ピザを受け取る姿をカメラが記録していた。

エリーゼは行方の分からないマルコスの安否を気遣うマツナガ家に、彼は愛人のもとに行ったと説明した。

28日、30キロ離れたコチア市の道端で頭部が見つかり残りの遺体も次々に発見された。

携帯電話の位置情報からエリーゼが容疑者として浮上。彼女は12年6月に逮捕され、犯行を自白した。16年12月には、夫を殺害し遺体を損壊し遺棄した罪で懲役19年11カ月と1日の判決が下された。

エリーゼは衝動的に夫を殺した、引き金を引かせたのは夫の裏切りだと弁護側は主張した。事件の前、不倫を疑ったエリーゼは探偵を雇った。そして探偵は疑惑を裏付ける証拠を入手した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ソロモン諸島、新首相に与党マネレ外相 親中路線踏襲

ワールド

米UCLAが調査へ、親イスラエル派の親パレスチナ派

ワールド

米FTC、エクソンのパイオニア買収を近く判断か=ア

ビジネス

インタビュー:為替介入でドル160円に「天井感」=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中