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歴史に残る過ちを犯したラムズフェルド...超エリートは何を見誤ったのか

Quagmire Man Dead at 88

2021年7月6日(火)17時46分
マイケル・ハーシュ(フォーリン・ポリシー誌上級特派員)

政界を引退する頃には、多くの専門家がラムズフェルドに、ベトナム戦争を主導したロバート・マクナマラ国防長官よりも辛い評価を与えていた。「マクナマラはベトナムの泥沼にはまり込むという罪を犯したが、少なくとも何か手を打とうとしていた。ラムズフェルドはイラク問題を自分に任せろと言いながら、何もしなかった」と、国防総省の高官は当時、私に語った。

ジャーナリストのジョージ・パッカーが著書『イラク戦争のアメリカ』(邦訳・みすず書房)で書いたように、政府高官として長生きしたことが、ラムズフェルドとチェイニーをイラク侵攻という愚行に導いたのかもしれない。

「彼らが公職者として活動した30年間、ただ一つアメリカが恐れるべきだったのは、弱い国家へ逆戻りすることだった」と、パッカーは書いた。

「だが冷戦終結後の90年代に、彼らは(多国籍テロをめぐる)議論をしなかった。だから9.11同時多発テロが起き、それまでとは劇的に違う発想が必要になったときにも、政権の外交政策チームは旧来の思考を貫いた。脅威は武装した国家だと考え続けたのだ」

From Foreign Policy Magazine

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