最新記事

ハッカー

ビットコインを暴落させたマスクにアノニマスが「宣戦布告」

U.S.Anonymous Threatens Elon Musk in Video Telling 'Narcissistic Rich Dude' to 'Expect Us'

2021年6月7日(月)16時15分
ハレダ・ラーマン
イーロン・マスク

ドイツにあるテスラの巨大工場を訪れたマスク。彼の発言はビットコインの価格に大きな影響を与えている。Michele Tantussi-REUTERS

<口先三寸のツイートで仮想通貨の相場を乱高下させ、勤勉な労働者の人生を破壊したと、義憤に燃えるハッカー集団アノニマス>

ハッカー集団「アノニマス」は自動車大手テスラと宇宙開発企業スペースXのCEOで億万長者のイーロン・マスクが仮想市場を操作し、人々の人生を破壊していると非難する動画を発表し、「覚悟しろ」と警告した。

「これはアノニマスからイーロン・マスクへのメッセージだ」と、6月5日にユーチューブとフェイスブックに投稿された動画のなかで、グループのトレードマークであるガイ・フォークスのマスクで顔を隠した人物は切り出した。

「過去数年間、電気自動車や宇宙探査が可能な世界に暮らすという私たちの多くがいだく願望を利用して、おまえは億万長者のなかでは最も好ましい人物という評判を獲得してきた。だが最近、慎重に作り上げられたおまえの一般向けイメージは暴かれ、おまえもまた、世間の注目を集めたいナルシシストの金持ちに過ぎないと、見破られ始めている」

「おまえが世界を救おうとするのは、人類にとって現実的な懸案事項だからというより、過剰な優越感と救世主妄想のためのようだ」

短いニュース映像をはさみつつ、メッセージは続く。「このことは、長年おまえの指揮の下で耐え難い状況に直面してきた従業員には以前から明らかだった。地域の環境を破壊している国外のテスラのリチウム鉱山で働く幼い子供たちにとっても明らかなことだ」

「普通の人々を軽視した」

さらに続けて、宇宙探査や電気自動車に取り組んでいる企業は「たくさんある」が、そのなかでマスクは「クソのような投稿とソーシャルメディア界の荒らし行為を通じてカルト的人気を獲得した唯一のCEOだ」と語った。

この動画の投稿に先立つ6月3日、マスクはビットコインとの関係を終わらせることを示唆する謎めいたツイートを投稿し、それがきっかけで仮想通貨の価格が下落した。

動画の中でアノニマスを名乗る人物は、テスラは「数カ月間ビットコインを保有することで、何年も車を売るより儲けた」と主張し、マスクが政府の補助金を受け続けるためにテスラと仮想通貨との関係を「否定せざるを得なかった」と「広く信じられている」とも述べた。

「仮想通貨市場でおまえがやったゲームは、人々の人生を破壊したようだ」と、メッセージは続いた。

「何百万人もの個人投資家が、自分の人生を向上させるために仮想通貨からの利益を本気で当てにしていた。もちろん彼らは投資の際にリスクを冒し、仮想通貨市場の乱高下を覚悟すべきことを知っている。だが先日のおまえのツイートは、普通の働く人々を明らかに軽視している」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=小反発、ナスダック最高値 決算シーズ

ワールド

トランプ氏、ウクライナ兵器提供表明 50日以内の和

ワールド

ウへのパトリオットミサイル移転、数日・週間以内に決

ワールド

トランプ氏、ウクライナにパトリオット供与表明 対ロ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 2
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 3
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別「年収ランキング」を発表
  • 4
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 7
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 10
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中