ビットコイン相場で話題の「マイニング(採掘)」って何?

2021年6月3日(木)17時10分
高山武士(ニッセイ基礎研究所)
ビットコインのマイニング設備(イメージ)

ビットコインのマイニング設備(イメージ)。いったい何のためにこんな計算量が必要なのか? imaginima-iStock.

<アメリカのテスラ社がビットコイン決済を中止した、それは「マイニング(採掘)」のための消費電力が大き過ぎるからだ、というニュースがどういう意味かがわかる解説>

*この記事は、ニッセイ基礎研究所レポート(2021年5月31日付)からの転載です。

1――はじめに

昨年末以降、代表的な暗号資産であるビットコインが乱高下している。

足もとでは米大手電気自動車メーカーのテスラのCEO(「テクノキング」という肩書も名乗っている)であるイーロン・マスク氏による自社製品へのビットコイン決済への対応(自社製品へのビットコイン支払いを認める)とその取り下げ発言もビットコインの動きに関係しているなどと指摘がなされている。ビットコイン決済を取り下げた背景にはビットコインの「マイニング(採掘)」作業による電力消費の急増、そしてそれに伴う化石燃料の消費の急増といった懸念があるようだ。

では、そもそもビットコインのマイニングとは何だろうか。なぜ電力消費と関係があるのか。ビットコイン自体は10年以上も前に生まれたもので、これまで様々な解説がなされてきているが、足もとで関心が高まっていることもあり、改めて、本コラムでもビットコインのマイニングについて、やや詳細に解説してみたい。

以下ではビットコインではない暗号資産やブロックチェーンという一般概念にも触れているが、主にビットコインの仕組みを中心に説明している1。私たちは銀行預金による送金の仕組みを知らなくても銀行預金を利用しオンラインショッピングなどで活用しているように、ビットコインの仕組みを知らなくても、それを利用することは可能である。筆者も、電子機器など仕組みを知らずに使っている物の方が多い。それでも、「マイニング」という比喩表現が具体的に何を表しているかを把握することは、実際に暗号資産を保有したい(あるいは発掘したい)と考える人にとっては参考になり、ビットコイン(やそれを含む暗号資産、ブロックチェーンなど)に関連する報道をより深く理解する助けになると考えている。

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1 ブロックチェーンのビットコインへの実装については、主にAndreas M. Antonopoulos, Mastering Bitcoinを参考にした。

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