最新記事

読書

男の子は読書が苦手(OECD調査)...でも本好きに変えられる6つの方法

Six Things You Can Do to Get Boys Reading More

2021年6月5日(土)16時41分
マーガレット・クリスティン・マーガ(豪カーティン大学上級講師)
読書をする男の子(イメージ)

Imgorthand-iStock

<OECDの調査では「女の子のほうが読書力も情報要約力も高い」とされるが、親として子供を読書に導く方法はある>

読解力では女の子のほうが男の子よりはるかに優秀――OECD(経済協力開発機構)でおなじみのこの調査結果は、オーストラリアの全国一斉テストNAPLAN でも見られる傾向だ。研究では、読書量が多いほど識字能力のさまざまな指標での成績も高くなることが示されている。典型的に、女の子のほうがより頻繁に読書し、本好きも多い。

両親も、娘のほうにより多く読み聞かせをするようだ。これは女の子を有利にするだけでなく、本は女の子のものとの認識を広げてしまう。

それでは、親や教育者は男女の読書ギャップをいかに埋めてやれるだろうか。まず、男の子と読書を結び付ける方法を探す必要がある。従来は、「男の子向きの」本を勧めるのが重要だ、とされていた。つまり、男の子が好むと言われるノンフィクションがその典型だった。

だがこの主張は、最近の数量調査ではむしろ裏付けられない。例えばOECD などの調べでは、男の子はフィクションをより好んだ。勝手な思い込みで男の子にノンフィクションを勧めるのは、いい結果につながらない。

フィクションはノンフィクションよりも、言語能力や読解力などの識字能力に結び付くことが多い。さらに、ノンフィクションを読む子はフィクションを読む子より読書の頻度が低いと調査は示している。

男の子にマンガを読むよう勧めることもあるかもしれない。子供はさまざまなタイプの文章に触れることで得るものがあるだろうが、マンガやメール、SNS 投稿、新聞、雑誌からは、フィクションと同程度の読書力を身に付けることはできない。

加えて、フィクションを読むことが、共感力やさまざまな視点から物事を見る能力など、社会的な力にもつながることが研究で示されている。男の子を読書に導き、読書に熱中させる6つの戦略を紹介しよう。

本人の興味に合わせて本を選び、親が手本に

1. 大人が同年代・同性の人々と興味や考え方が異なるように、男の子だって多種多様な興味と好みを持っているし、時とともに変化もする。

彼らが本当に興味を持つ本をマッチングしてあげるために、彼らの興味を常に把握しておくべく、読書の楽しみについて日常的に話し合おう。

2. 学校では授業で図書館を用いる機会も多いが、自由時間に図書館に通うのは女の子のほうが多い。だから授業で図書館を使う機会が減ると、男の子の読書量も減りがちだ。読書を推進するためには、本に触れる機会を増やすことが欠かせない。

3. できる限り長い間、男の子に読み聞かせをし、一緒に読書しよう。彼らの多くが、いくつになっても親との読書体験を楽しんでいる。

4. 忙しい毎日でも、家や学校で黙読する時間を与え、励まそう。

5. 紙の本に触れさせるようにしたい。日常的によく本を読む男の子は、女の子よりもむしろ、電子書籍で読むのを選ばない傾向がある。

6. 親が手本となり、読書を楽しくて満足できる娯楽に仕立てよう。自分が愉快に読書する姿を、子供たちに見せてやるといい。

OECD は、「男の子より女の子のほうが読書力も情報要約力も高い」と分析するものの、「男女間の能力の差よりも同性での個人差のほうがずっと大きい」と指摘している。だから、子供に何とか読書させたいと願う親は、男女の差ではなく、子供それぞれのニーズに応えるべきだ。

The Conversation

Margaret Kristin Merga, Senior Lecturer in Education, Curtin University

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ロ石油施設の攻撃縮小巡り支援国から「シグナル」=ウ

ビジネス

金融政策は「良い位置」、二大責務間に緊張も=FRB

ビジネス

ミランFRB理事「約1%の利下げ必要」、原油高でも

ワールド

G7、エネルギー市場安定化に向けあらゆる措置を講じ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思われるドローンの攻撃を受け大炎上
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカ…
  • 6
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 7
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 8
    【銘柄】東京電力にNTT、JT...物価高とイラン情勢に…
  • 9
    イタリアに安定をもたらしたメローニが国民投票で敗…
  • 10
    アリサ・リュウの自由、アイリーン・グーの重圧
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 4
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 5
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 6
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 7
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 8
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 9
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中