最新記事

パンデミック

コロナ禍「パンデミック心理」根強い ワクチン接種後も将来に不安=国際調査

2021年5月21日(金)09時54分

PR会社の米エデルマンが20日に公表した調査「エデルマン・トラスト・バロメーター」によると、主要国で多くの人が新型コロナウイルスワクチンを接種した後でも正常な生活に戻ることに大きな不安を抱いていることが分かった。写真はニューヨーク市で7日撮影(2021年 ロイター/Eduardo Munoz)

PR会社の米エデルマンが20日に公表した調査「エデルマン・トラスト・バロメーター」によると、主要国で多くの人が新型コロナウイルスワクチンを接種した後でも正常な生活に戻ることに大きな不安を抱いていることが分かった。

調査は4月30日から5月11日まで、ブラジルとカナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、日本、メキシコ、サウジアラビア、南アフリカ、韓国、アラブ首長国連邦、英国、米国の14カ国で1万6800人を対象に実施した。

調査対象の65%が「パンデミック(世界的大流行)時の考え方のままだ」と回答。具体的には、民間航空機の利用を安全と感じるとの回答が16%、ホテルでの宿泊は23%、屋内での飲食は28%だった。ワクチン接種が完全に終わっている人に限っても、それぞれ比率が小幅に高かった程度だ。

エデルマンは「ワクチンは正常な生活に戻る準備ができていると考える人の比率を5%引き上げただけだ。調査対象の10人に7人近くがすぐに新たな感染が起こるのではと不安視している」と指摘した。

一部の政策当局者は、これまで抑えられてきた需要が出てくる中、向こう数カ月間で主要経済国が力強く回復すると述べるが、調査結果を受けこうした見方に疑いが生じる可能性もある。

調査ではまた、世界各国の国民が政府の危機への対応に不満を抱いていることが分かった。14カ国中、中国とサウジアラビア、アラブ首長国連邦、インドの4カ国のみ、政府への支持が底堅かった。

もっとも、1日の新規感染件数が世界最多となっているインドの場合、政府への信頼度は77%で、1月からは2%ポイント低下。別の調査ではインドのモディ首相の支持率が過去最低水準に落ち込んだ。

エデルマンの調査ではまた、多くの人が新型コロナ危機後も長期にわたる社会問題が残ると考えていることが分かった。調査対象の55%が精神疾患の悪化が残ると回答。雇用の永久的な喪失を不安視する向きも同等水準いた。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

三井物産、26年3月期は14%減益見込む 市場予想

ビジネス

エアバスCEO、航空機の関税免除訴え 第1四半期決

ビジネス

日銀、無担保コールレート翌日物の誘導目標を0.5%

ワールド

日韓印とのディール急がず、トランプ氏「われわれは有
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 2
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 3
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中