最新記事

アメリカ経済

トランプ大減税を巻き戻し、格差縮小を目指すバイデンの法人税増税案

Top US CEOs Open to Corporate Tax Rate of 28%, Biden Says Trump Cuts Failed

2021年4月9日(金)16時51分
ベンジャミン・フィアナウ
増税案を支持したアマゾンのベゾスCEO

増税案を支持したアマゾンのベゾスCEO。アマゾンなどの大企業は連邦所得税をほとんど払っていないと批判が強い Joshua Roberts-REUTERS

<トランプが大幅に引き下げた法人税を取り戻し、巨額インフラ投資計画で雇用と中間層を救う計画だが、甘い汁を吸ってきた企業の反対も強い>

ジョー・バイデン米大統領は、2兆ドル規模のインフラ投資計画の財源を賄うために、法人税率の引き上げを提案。アメリカの複数の大手企業CEOが、これを全面的に支持すると表明している。複数のホワイトハウス関係者はこの法人税率の引き上げについて、2017年に共和党政権が実施した富裕層と大企業優遇の減税措置を撤回するものだと言っているが、共和党とワシントンの企業ロビイストたちは増税に反対している。

バイデンの増税案は、現行21%の法人税率を28%に引き上げるというもの。これによって増える税収およそ8500億ドルをインフラ投資計画の財源に充てる計画で、ドナルド・トランプ前大統領が法人税率を35%から21%に引き下げた税制改革法案との「中間点」を模索した結果だ。

バイデンが「フォーチュン500企業のうち、2020年に連邦法人所得税を1セントも払わなかった91社のひとつ」と批判していたアマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は、バイデンの増税案を支持すると表明。配車サービス企業リフトのジョン・ジマー共同創業者兼社長も4月7日、CNNに対して、法人税率の引き上げを支持すると述べた。

今週ロイターの取材に応じた12人超の企業トップやホワイトハウス関係者は、バイデンが法人税率の25%の引き上げで妥協することを期待していると語った。バイデン自身、7日にホワイトハウスで行った演説の中で「議論を歓迎する。妥協は避けられない。修正があるのは間違いない」と言っていた。

25%で妥協となるか

税率25%にすれば増収分は5000億ドル未満に減るが、ウェストバージニア州選出のジョー・マンチン上院議員をはじめとする民主党穏健派は、25%への引き上げならば支持できると言っており、バイデンのインフラ法案が議会で可決される可能性も高い。アメリカの法人税率は1960年時点で50%を超えていたが、その後の減税で今はその半分以下の水準となっている。

大手エネルギー企業のロビイストはロイター通信に対して、「歓迎はしないが、(引き上げ後の法人税率が)25%になることを期待している」として、「それが達成されればよしとする」と述べた。

バイデンに加えてホワイトハウスの複数の側近も、2017年の共和党政権による法人税率の減税措置を非難。スティーブン・ムニューシン財務長官(当時)の主張とは異なり、一度も「公約された労働者への還元効果はなかった」と指摘している。バイデンのインフラ計画には、富裕層が税の徴収から逃れることがないように、内国歳入庁(IRS)の執行能力を強化する案も含まれている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豪中銀、政策金利を0.25%引き上げ3.85%に

ビジネス

三井物産、4─12月期の純利益6.2%減 JA三井

ビジネス

マスク氏のスペースXがxAI買収、宇宙・AI統合 

ビジネス

米テスラ、SUV「モデルY」に新タイプ投入 4万1
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗り物から「勝手に退出」する客の映像にSNS批判殺到
  • 2
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れるアメリカ」に向き合う「日本の戦略」とは?
  • 3
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 4
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 7
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 8
    エプスタイン文書追加公開...ラトニック商務長官、ケ…
  • 9
    共和党の牙城が崩れた? テキサス州で民主党が数十…
  • 10
    世界初、太陽光だけで走る完全自己充電バイク...イタ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中