最新記事

マスク拒否

マスクを燃やせ!米アイダホ州で着用義務化に抗議 小さな子供も

'Destroy Them!' Children Burn Face Masks at Anti-Mask Rally in Idaho

2021年3月8日(月)16時39分
ベンジャミン・フィアナウ
アイダホ州 マスク 抗議デモ

「自由のために」マスクを燃やす人々。子供たちも大人に促されてマスクを投げ込んだ Dave Reilly Media/REUTERS

<アメリカの一部で新型コロナ対策としてマスク着用が義務化されるなか、反発してマスクを燃やすデモが行われた>

3月6日の朝、アイダホ州の州都ボイシにある州議会議事堂の階段で何十人もの親が、新型コロナウイルス対策としてマスク着用を強制されることに反発する「マスク着用反対」の抗議運動を行い、幼い子供たちにマスクを燃やさせた。

6日に行われたマスクを燃やす運動「#フリーアイダホ」のイベントに先立って、アイダホ州議会下院で、共和党議員が提案したマスク着用の義務化を将来にわたって違法にする法律が僅差で可決された。

ボイシの集会に参加した大人たちは、子供たちに指示して、何百枚ものマスクをゴミ箱に投げ込ませた。「焼いちゃえ!」と、熱狂的な大人が叫んだ。子供たちは笑顔で、炎のあがるゴミ箱にマスクを投げ込み、燃やした。「急がないでね。注意して!火に気を付けて」と周囲の大人たちは声をかけた。


州が全域でマスク着用を義務化するという動きは、全米の共和党議員を怒らせたが、アイダホ州議会議員らの怒りはすさまじかった。そこで2月に、行政のいかなる段階でもマスク着用の義務化を行うことのないように法案を通過させた。

ボイシでのマスクを燃やす抗議活動を組織したのは、フリーアイダホと名乗るグループ。同時にサンドポイント、ボナーズフェリー、ラクレデ、クールダレーン、セントマリーズ、プラマー、テンズドといった町でもマスクを燃やすイベントを行った。

星条旗を振りながら

オレゴン公共放送のセルジオ・オルモスがツイッターでシェアした動画には、数十枚の青や白のマスクを金属製のゴミ箱に投げ込む子供たちの姿が映っており、「一度にやらないで」と、指示する大人の声が聞こえた。「よし、今はこれで十分だ。燃えるところを見てごらん」

火の中に投げ込むためにマスクをつかむ子供たちを、数人の大人が手伝っているところも映っていた。年配の参加者は星条旗を振っていた。そのなかには車椅子の参加者もいた。

アイダホ州内で「マスク着用反対」集会が開かれたのはこれが初めてではない。昨年8月、ヘイデンのパンハンドル保健局の建物の近くでマスクを燃やすバーベキューイベントが開催された。

このイベントは、ユーチューブのチャンネル「ノースアイダホ・エクスポーズド」に投稿された動画のコメント欄で「今週の火曜日8月18 日11時、パンハンドル保健局でマスクのバーベキューにご参加ください。食材やスナック、パンなどなんでも一緒に焼きたいものをご持参ください(マスクも可)」と、告知されていた。

ボイシのイベントの参加者は「安全を得るために自由を放棄する者は、そのどちらも得られないし、得るに値しない」というベンジャミン・フランクリンの名言をボードに書いて掲げていた。この名言は、文脈を無視した形で頻繁に引用されている、と多くの歴史家が指摘している。

2月22日、ノースダコタ州議会下院は、どのような健康危機が起ころうとも、州全域でマスクの着用を義務付けることを将来にわたって違法にする法案を2票差で可決した。「私たちの州は収容所ではない」と、共和党のジェフ・ホバーソン議員は語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インフレリスクは均衡、想定より成長底堅い=クロアチ

ワールド

アングル:観光地や地下鉄駅でも結婚可能に、中国出生

ワールド

アングル:家賃値上げ凍結掲げる次期NY市長、不動産

ワールド

英7─9月賃金伸び鈍化、失業率5.0%に悪化 12
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    ギザのピラミッドにあると言われていた「失われた入…
  • 7
    インスタントラーメンが脳に悪影響? 米研究が示す「…
  • 8
    中年男性と若い女性が「スタバの限定カップ」を取り…
  • 9
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 10
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中