最新記事

政権移行

議事堂の次は就任式が危ない?トランプ支持者の襲撃に備えるワシントン

Experts Warn of Inauguration Threat to Soft Targets, 'Fully Expect Violence'

2021年1月13日(水)17時49分
ナビード・ジャマリ、トム・オコーナー

NSSEの延長、災害前の緊急宣言発令、毎日の情報ブリーフィングなど、さらに厳しい措置を求めている公職者はバウザーだけではない。

国土安全保障省は、同省のチャド・ウルフ長官代行が11日に発表した声明に言及し、「この1週間の出来事と、就任に至るまでの安全保障情勢とシークレットサービスのジェームズ・マレー長官の勧告に照らして」NSSEを拡大したと本誌に語った。

「連邦、州、地元当局は引き続き連携して、この重要な式典のためにそれぞれの計画と配備要員を調整し続ける」と、ウルフは語った。

だが声明の発表後まもなく、ウルフは辞任を発表した。実は最近、ウルフの長官代行ポストへの就任が合法的ではないとの判断をカリフォルニア州の裁判所が示していた。

「権力の移行のこの重要な時期に、本省の重要な仕事にあてられるべき注意力とエネルギーが徐々に奪われている」と、ウルフは文書で声明を発表した。

ウルフの後任に予定されているのは、連邦緊急事態管理局(FEMA)のピーター・ゲイナー長官だ。ゲイナーは米海軍に26年間所属、イラクでの戦闘作戦を調整し、中佐の階級で引退した。

トランプ政権の4年間の間に長官(または長官代行)の地位を引き継ぐのはゲイナーで6人目となる。

難しい白人テロの防止

司法省に属するFBIに関していえば、2005年のハリケーンをきっかけにカトリーナ合同タスクフォースの司令官を務め、ワシントン統幕事務局にも属していたラッセル・オノレ退役陸軍中尉は、極右の白人至上主義者の脅威の増大をあえて知らないふりをしてきたせいで、連邦当局が十分に機能できない状態に陥ったことを懸念している。

「白人テロリストの監視となると、FBIは、ほぼ何もできない。彼らはテロリストと宣言されていないからだ」と、オノレは本誌に語った。「彼らはFBIが尊重しなければならないアメリカ市民であり、悪いことをしない限り、そうしたグループを日常的に監視することはない」

議事堂襲撃が可能だったのは、群衆が立法の象徴である建物に押し入ることに議事堂警察の幹部が「加担」していたからだ、とオノレは主張する。

オノレが就任式で懸念する事項のなかには、パイプ爆弾と単独犯による狙撃がある。だが特に確信しているのは、地下鉄や発電所など、セキュリティゾーン外の重要なインフラポイントの脆弱性だ。議事堂に侵入するほど厚かましい連中なら、「どんなものでも追い求めかねない」と、オノレは言う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ギャップ、8─10月は既存店売上高・利益が市場予

ビジネス

ビットコインの弱気派優勢に、年末の9万ドル割れ確率

ワールド

米下院委員長、中国への半導体違法輸出受け法案の緊急

ワールド

ボスニアと米国、ロシア産ガスに代わるパイプライン建
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 7
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 8
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 9
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 10
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中