最新記事

新型コロナウイルス

イギリスで新型コロナウイルスの変異種が急速に拡大

'New Variant' of COVID That Spreads Rapidly Found in South of England

2020年12月15日(火)16時36分
ゾーイ・ドリューエット

厳しい表情で記者会見をするイギリスのハンコック保険相(12月10日) Simon Dawson-REUTERS

<ワクチン接種が始まったばかりのイギリスで、新型コロナウイルスの変異種が出現したことを保健相が確認した>

英保健相は12月14日、イギリスで新型コロナウイルスの「変異種」が検出され、この変異種が最近の感染者数急増に関係していると述べた。世界保健機関(WHO)にはすでに報告されているという。

英保健相マット・ハンコックは、下院で行ったスピーチにおいて、ロンドンと、イングランド南部の多くの地域で新型コロナウイルスの感染者数が「急増」しているのを受け、新たに規制を強化すると述べた。

この変異種が、感染者急増にどの程度関与しているのかはまだわかっておらず、重症化しやすいという証拠も、ワクチンに耐性を持つことを示す証拠も「何もない」とハンコックは述べた。イングランドでは少なくとも60の地方自治体で、この変異種による感染が確認されている。

ハンコックは、イギリス全体では先週1週間で、1日の平均入院者数が13%、1日の平均感染者数が14%増加したと述べた。

イングランド南部のロンドンとエセックス州の一部、ハートフォードシャー州南部では12月16日から、イギリス政府が定めた新型コロナウイルス対策で最も厳格な警戒レベルである「ティア3」が導入される。

ロンドンでは感染者が倍増

感染力は強いとみられ、ハンコックは下院で、「現在、この変異種による感染が1000件以上、確認されている。おもにイングランド南部で、60近い地方自治体におよんでいる」と述べた。

「この新しい変異種の影響がどの程度のものかはわからないが、いずれにせよ、この感染拡大には迅速かつ断固たる行動が必要だ。残念ながら、このきわめて有害なウイルスをコントロールするには、ワクチン接種を進める一方で、(警戒レベルの引き上げも)絶対に欠かすことができない」

ティア3に引き上げられると、パブやレストランが営業できるのはテイクアウトと配達のみとなる。

ロンドン市長サディク・カーンは、ティア3の規制が導入されれば、接客業や文化、小売などの業界に「壊滅的な影響をもたらす可能性がある」と述べた。

パブやレストランの多くは、クリスマスまでの1週間で来店するはずだった客のために食材や飲み物を事前に発注していたが、もはや「ビールをそのまま流しに捨てる」しかないと嘆く。

ある議員の話としてBBCが報じたところによると、ハンコックは事前のブリーフィングで、ロンドンでは7日毎に感染者が倍増しており、12月23日に警戒レベルの次の見直しを行うと語ったという。

感染者数の急増にもかかわらず、イギリス政府は「クリスマスのガイドラインを見直す予定はない」としている。クリスマスをはさんだ12月23日から27日の5日間は、規制が一時的に緩和され、3世帯までなら集まることが可能だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏がウォール街トップと夕食会、生活費高騰や

ワールド

米、政府閉鎖中に模範勤務のTSA職員に1万ドルのボ

ビジネス

米国株式市場=急落、エヌビディアなど安い 利下げ観

ワールド

ゼレンスキー氏、南東部前線視察 軍は国産ミサイル「
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 5
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 6
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 7
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 10
    「ゴミみたいな感触...」タイタニック博物館で「ある…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中