最新記事

米大統領選

人民日報、「大差で勝った」と言い張るトランプを笑う

China's State Media Taunts Trump on Twitter for Claiming He Won Election

2020年11月9日(月)15時25分
ミリ・ゴディオ

11月5日にホワイトハウスで記者会見を開き、選挙の不正を訴えたトランプ Carlos Barria-REUTERS

<一方、当確が出たバイデンとハリスには各国首脳から次々と祝福のメッセージが>

中国共産党機関紙である人民日報は11月7日、アメリカの大統領選挙に「大差で」勝利したという嘘のツイートをしたドナルド・トランプ大統領をあざ笑った。

中国共産党中央委員会の公式新聞であり、ツイッターで700万人のフォロワーを誇る人民日報は、民主党候補のジョー・バイデン前副大統領が当選を確実する数時間前に、自分が選挙に勝ったと宣言したトランプのツイートに、「あはは!」という言葉に笑いを示す絵文字を添えて返信した。

トランプのこの投稿に対して、ツイッター社は正式な結果が出ていないのに勝者を偽る内容であるとして、警告を出した。

その直後、バイデンが激戦州のペンシルベニアで勝利をおさめ、選挙人20人を獲得したことが判明すると、AP通信と主要テレビ局はバイデンが第46代アメリカ合衆国大統領として選出されることが確実になったと報じた。

トランプは5日にも、ペンシルベニア州を大差で獲得したと主張したが、その時点ではまだ多くの票が集計されていなかった。最終的にバイデンは3万票以上の差をつけて勝利を収めた。

トランプを嘲笑った外国メディアは人民日報だけではない。AP通信によると、コロンビアの日刊紙パブリメトロは、星条旗のマスクをした男の写真と共に「バナナ・リパブリック(政情不安定な中南米の小国)はどっち?」という見出しを1面に掲げた。

中国だけではない批判

7日発売のドイツの大手ニュース雑誌シュピーゲルは、「スクワッター(不法占拠者)」というタイトルのもとに、ホワイトハウスの執務室で、ライフル銃を構える挑戦的なトランプのイラストを表紙に掲載した。背後に掲げられたバイデンの写真に弾痕が見える。

オーストラリアの週刊紙サタデー・ペーパーは、一面に「現実以外のあらゆるものにしがみつく小さな手」というタイトルをつけてトランプの手の写真を掲載した。一方、イギリスのガーディアン紙は、トランプは「現実に逆らう戦い」をしていると評した。

トランプを嘲る人民日報の姿勢は、近年の激しい米中対立の結果でもある。長引く貿易・技術・人権紛争、安全保障問題、そして新型コロナウイルス感染爆発の責任問題をめぐって、米中関係は過去40年で最悪と言われている。

AP通信は10月に、中国の指導者はバイデンが大統領選挙に勝つことを望んでいると報じた。中国側はバイデンであれば、米中が対立している分野の一部に協力関係を築く余地があるのではないかと期待しているようだ。だが民主党も共和党も、近いうちに中国に対する姿勢を軟化させる気配はない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英小売売上高、10月は5月以来の前月比マイナス 予

ワールド

マクロスコープ:円安・債券安、高市政権内で強まる警

ワールド

ABC放送免許剥奪、法的に不可能とFCC民主党委員

ワールド

アングル:EUの対中通商姿勢、ドイツの方針転換で強
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 5
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 10
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中