最新記事

2020米大統領選

トランプ、コロナ感染後初の選挙集会開催 健康回復をアピール

2020年10月13日(火)12時30分

トランプ米大統領は12日、今月2日に新型コロナウイルス感染を公表して以来初となる選挙集会をフロリダ州の空港で開いた。マスクは着用せず、感染が拡大するコロナへの対応を自画自賛した。写真は同空港の集会場でポーズを取るトランプ氏。(2020年 ロイター/Jonathan Ernst)

トランプ米大統領は12日、今月2日に新型コロナウイルス感染を公表して以来初となる選挙集会をフロリダ州の空港で開いた。マスクは着用せず、感染が拡大するコロナへの対応を自画自賛した。

トランプ氏は空港に集まった多数の聴衆の前に現れるとマスクを投げて配り、演説では自身がコロナから回復したことに何度も言及した。

「私はコロナを経験した。私には免疫があると聞いている。非常に力がみなぎっている」と強調。「ここに集まった男性と美しい女性たちにキスを送る。濃厚なキスだ」と語りかけた。演説は1時間に及び、聴衆の大半はマスクを着用していなかった。

11月3日の大統領選まで残り3週間となる中、全米と一部主要州の世論調査でトランプ氏は民主党候補のバイデン前副大統領に支持率でリードを許しており、流れを変えようと躍起になっている。今週は計6回の集会を予定している。

フロリダの集会は、コロナ感染後も同氏が選挙活動の手法を見直したり見通しを変更していないことを物語った。

トランプ氏は支持者らに、新型コロナ対策のロックダウン(封鎖措置)は経済に大きな打撃を与えており、あまりにも劇的だったと強調。「リスクを伴うが、外出するべきだ」と呼び掛けた。

トランプ氏が選挙イベントに集まる支持者やホワイトハウスのスタッフにマスク着用や対人距離の確保を奨励しないことについては批判の声がある。トランプ氏の側近の少なくとも11人はコロナ検査で陽性判定を受けている。

米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は同日、CNBCに対し、米政府はマスクの一斉着用や大規模集会の回避を国民に促さなければ、「大きな問題」に直面すると警告した。

トランプ大統領の主治医ショーン・コンリー氏は先に、大統領が連日の新型コロナウイルス検査で陰性と判定されたことを明らかにし、周囲には感染しないとの見解を示した。

バイデン氏はこの日、遊説先のオハイオ州でトランプ氏がコロナのリスクを軽視したと批判した上で、国民のパニックを引き起こしたくなかったとのトランプ氏の過去の発言を引き合いに出し「パニックしたのはトランプ氏だ。感染診断を受けて以降の向こう見ずな行動も常軌を逸している」と訴えた。

バイデン陣営によると、同氏はこの日のコロナ検査でも陰性だった。

オハイオ州でバイデン氏は劣勢だと考えられていたが、最近の世論調査は接戦の様相を呈している。バイデン氏が同州を訪れたのは過去2週間で2回目。トランプ氏は4年前の大統領選で同州で勝利しており、再選を果たすためには同州での勝利がほぼ必須となる。

12日公表のロイター/イプソスの世論調査によると、バイデン氏はウィスコンシン、ペンシルベニアの両州でトランプ氏への支持率リードを7%ポイントに広げた。トランプ氏は16年の前回選挙で両州で勝利している。

フロリダの最新の世論調査でバイデン氏はトランプ氏を小幅にリードしている。トランプ氏は16年の選挙で僅差で同州で勝利を収めた。

トランプ氏は週内にペンシルベニア、アイオワ、ノースカロライナ、ジョージア、フロリダの各州で選挙集会を予定している。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


ニューズウィーク日本版 世界が尊敬する日本のCEO
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月1日号(6月24日発売)は「世界が尊敬する日本のCEO」特集。不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者……その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米5月PCE価格、前年比2.3%上昇 個人消費支出

ビジネス

中国人民銀、経済状況に応じて効果的に政策対応 金融

ビジネス

利下げ今年2回予想、一時停止の可能性も=ミネアポリ

ビジネス

ドイツ政府委、最低時給の段階的引き上げ勧告 27年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 2
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉仕する」ポーズ...アルバム写真に「女性蔑視」批判
  • 3
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事実...ただの迷子ですら勝手に海外の養子に
  • 4
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 5
    【クイズ】北大で国内初確認か...世界で最も危険な植…
  • 6
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝…
  • 7
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 8
    伊藤博文を暗殺した安重根が主人公の『ハルビン』は…
  • 9
    富裕層が「流出する国」、中国を抜いた1位は...「金…
  • 10
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 10
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中