最新記事

イギリス

イギリス版Go To Eatが「コロナ感染拡大の一因に」、英首相認める

2020年10月8日(木)17時30分
松丸さとみ

「キャンペーンの効果は限定的」と英商工会議所調査...... REUTERS/Toby Melville

<日本ではじまったGo To Eatキャンペーンと類似のキャンペーンを行っていた英国で、ボリス・ジョンソン首相はこのほど、この支援策が新型コロナウイルス感染症再拡大の一因となったとの考えを示した......>

8月に外食産業支援策、9月に第2波

飲食業を支援する目的で日本でもGo To Eatキャンペーンがこの10月からスタートしたが、一足先に類似のキャンペーンを行っていた英国で、ボリス・ジョンソン首相はこのほど、この支援策が新型コロナウイルス感染症再拡大の一因となったとの考えを示した。

英国で行われていた外食産業支援策は、「Eat Out Help Out」(外食をして支援しよう)キャンペーンだ。8月中の月、火、水曜日に対象の店舗で食事をした場合、1回につき50%(上限10ポンド)を政府が消費者に支援するというものだった。予算は5億2200万ポンド(約715億円)以上とされている。

しかし8月にキャンペーンが終わり9月に入ると、いったん収まっていた新型コロナウイルスの感染が拡大し、中旬には第2波に見舞われた。現在は、2度目のロックダウンを行う必要性が議論されるほど深刻な状況だ。このような感染拡大の再燃は、Eat Out Help Outなどの経済政策が一因になっているとする声も少なくない。

ジョンソン首相が4日、英公共放送BBCの番組『アンドリュー・マー・ショー』(日曜朝の対談番組)に出演した際も、司会者のアンドリュー・マー氏は繰り返し、Eat Out Help Outキャンペーンや、国民を職場へ戻るよう促したことが、ウイルス拡大につながったと指摘した。

マー氏の発言を受けてジョンソン首相は、「パンデミック(世界的な大流行)が始まってから起きたことの全責任は私が取る」と述べ、感染を抑制するためのロックダウンと経済活動とのバランスを政府は取ろうとしている、と説明。さらに、同キャンペーンをやっていなかったら、大量の失業者が出ていた可能性を強調した。

マー氏はそれでも、Eat Out Help Outが感染拡大の一因となったことは周知の事実だと語気を強めて繰り返すと、ジョンソン首相は、「キャンペーンがウイルス拡散の一因になったかもしれないという意味では、政府が今提案している規律と政策をもって、当然ながらこれに対抗する必要がある」と発言した。

インディペンデントメトロなど英国の主要メディアやブルームバーグといった経済紙はこの発言を、「ジョンソン首相がEat Out Help Outがウイルス拡散の一因になったと認めた」と報じた。

三菱UFJフィナンシャル・グループ
幅広いニーズに応える新NISAの活用提案──MUFGが果たす社会的使命
今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:中国の矛盾示す戸籍制度、改革阻む社会不安

ワールド

焦点:温暖化する世界、技術革新目指す空調メーカー 

ワールド

OPEC事務局長、COP28草案の拒否要請 化石燃

ワールド

日米韓、北朝鮮のサイバー脅威対策強化へ 安保担当高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イスラエルの過信
特集:イスラエルの過信
2023年12月12日号(12/ 5発売)

ハイテク兵器が「ローテク」ハマスには無力だった ── その事実がアメリカと西側に突き付ける教訓

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    英ニュースキャスター、「絶対に映ってはいけない」不適切すぎる姿が放送されてしまい批判殺到

  • 2

    「みっともない!」 中東を訪問したプーチンとドイツ大統領...2人の「扱い」の差が大き過ぎると話題に

  • 3

    大統領夫人すら霞ませてしまう、オランダ・マキシマ王妃の「ファッショニスタ」ぶり

  • 4

    下半身ほとんど「丸出し」でダンス...米歌手の「不謹…

  • 5

    「未来の王妃」キャサリン妃が着用を許された、6本の…

  • 6

    相手の発言中に上の空、話し方も...プーチン大統領、…

  • 7

    「ホロコースト」の過去を持つドイツで、いま再び「…

  • 8

    「傑作」「曲もいい」素っ裸でごみ収集する『ラ・ラ…

  • 9

    シェア伸ばすJT、新デバイス「Ploom X ADVANCED」発…

  • 10

    「ファッショニスタ過ぎる」...オランダ・マキシマ王…

  • 1

    完全コピーされた、キャサリン妃の「かなり挑発的なドレス」への賛否

  • 2

    シェア伸ばすJT、新デバイス「Ploom X ADVANCED」発売で加熱式たばこ三国志にさらなる変化が!?

  • 3

    下半身ほとんど「丸出し」でダンス...米歌手の「不謹慎すぎる」ビデオ撮影に教会を提供した司祭がクビに

  • 4

    反プーチンのロシア人義勇軍が、アウディーイウカで…

  • 5

    ロシアはウクライナ侵攻で旅客機76機を失った──「不…

  • 6

    下半身が「丸見え」...これで合ってるの? セレブ花…

  • 7

    周庭(アグネス・チョウ)の無事を喜ぶ資格など私た…

  • 8

    上半身はスリムな体型を強調し、下半身はぶかぶかジ…

  • 9

    「傑作」「曲もいい」素っ裸でごみ収集する『ラ・ラ…

  • 10

    「ダイアナ妃ファッション」をコピーするように言わ…

  • 1

    <動画>裸の男が何人も...戦闘拒否して脱がされ、「穴」に放り込まれたロシア兵たち

  • 2

    <動画>ウクライナ軍がHIMARSでロシアの多連装ロケットシステムを爆砕する瞬間

  • 3

    <動画>ロシア攻撃ヘリKa-52が自軍装甲車MT-LBを破壊する瞬間

  • 4

    ロシアはウクライナ侵攻で旅客機76機を失った──「不…

  • 5

    戦闘動画がハリウッドを超えた?早朝のアウディーイ…

  • 6

    ここまで効果的...ロシアが誇る黒海艦隊の揚陸艦を撃…

  • 7

    最新の「四角い潜水艦」で中国がインド太平洋の覇者…

  • 8

    またやられてる!ロシアの見かけ倒し主力戦車T-90Mの…

  • 9

    レカネマブのお世話になる前に──アルツハイマー病を…

  • 10

    完全コピーされた、キャサリン妃の「かなり挑発的な…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中