最新記事

韓国

関係悪化の責任は安倍前首相にあると煽ってきた韓国、菅首相誕生への反応は

2020年9月21日(月)16時00分
佐々木和義

対話を求める動きも

日韓関係が悪化している原因に文在寅政権の協定無視と合意破棄がある。18年10月、韓国の大法院が日本企業に対し、元半島出身労働者に金銭の支払いを命じる判決を下し、日本政府が日韓請求権協定違反だと抗議したが、文政権は司法の独立性を名目に放置した。翌11月には慰安婦問題日韓合意に基づいて設立された和解・癒やし財団を解散すると発表した。

イスラム過激派組織のISILや北朝鮮が使用した兵器に日本製部品が使われていることが明らかになり、韓国メディアが韓国政府の輸出管理体制の問題点を指摘した直後の19年7月、日本政府が韓国向け輸出管理の強化を発表すると、文在寅政権は大法院の判決に対する報復だと主張して日本製品不買運動が広がった。続いて韓国政府は「日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」を延長しないと日本に通告し、関係が悪化した。

韓国政府を批判する声もある。与党・共に民主党の文喜相(ムン・ヒサン)前国会議長は駐米特派員出身ジャーナリストの会である韓米クラブの季刊誌「韓米ジャーナル」で、韓日関係の放置は百害あって一利もなく、両国民すべてに被害を与えると日韓両政府を批判した。朴槿恵政権下で国会議長を務めた鄭義和(チョン・ウィファ)氏も、日本を理解しようと努める姿勢が必要であり、日本より良い国になることが美しい報復だと語っている。

菅新首相が就任した9月16日、文在寅大統領と丁世均首相が就任祝いと対話を求める書簡を送り、外交部も談話を発表した。いっぽう菅首相は就任後の記者会見で中国とロシアとの関係構築に触れ、米国などと連携して拉致問題の解決に取り組むと話したが、韓国には言及しなかった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米GM、1200人超削減へ EV関連工場で=現地紙

ワールド

ロシア特使「和平への道歩んでいる」、1年以内に戦争

ビジネス

カナダ中銀、2会合連続で0.25%利下げ 利下げサ

ビジネス

イスラエル、ガザ停戦協定の履行再開と表明 空爆で1
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    コレがなければ「進次郎が首相」?...高市早苗を総理に押し上げた「2つの要因」、流れを変えたカーク「参政党演説」
  • 3
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」にSNS震撼、誰もが恐れる「その正体」とは?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 6
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 7
    リチウムイオンバッテリー火災で国家クラウドが炎上─…
  • 8
    怒れるトランプが息の根を止めようとしている、プー…
  • 9
    「ランナーズハイ」から覚めたイスラエルが直面する…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 9
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 10
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中