最新記事

トランプ政権

ペンスの元部下が怒りの内部告発「トランプはアメリカの安全をぶち壊す」

Former Pence Aide Endorses Biden, Says Trump Will Be ‘Detrimental’ to American Safety

2020年9月18日(金)15時50分
キャサリン・ファン

新型コロナの感染拡大のさなかもトランプの関心は大統領選にあったと告発するオリビア・トロイ RVAT/YOUTUBE

<ホワイトハウスの新型コロナ対策タスクフォース元メンバーが語った、コロナの深刻さを隠蔽し自分の支持者すら馬鹿にするトランプの人格崩壊ぶり>

ドナルド・トランプ米大統領の再選に反対する内部告発者のリストは長くなる一方だ。直近では新型コロナウイルス対策のタスクフォースでマイク・ペンス副大統領に仕えた元部下が、「トランプはアメリカの安全をぶち壊す」大統領と告発して注目されている。

この人物は、ペンスが率いる新型コロナ対策タスクフォースの主要メンバー、オリビア・トロイ。今回の告発は、最近の一連の告発と共に、トランプが米国民に対して新型コロナの感染拡大の深刻さを隠蔽した事実を裏付けている。

「トランプを支持しない共和党の有権者(RVAT)」が公開した最新の動画でトロイは、トランプ政権は少なくとも2月には新型コロナの感染がパンデミック(世界的大流行)のレベルに拡大する見込みであることを知っていた、と語った。

「新型コロナは当初はまったく予測不能だった。未知の部分がたくさんあった。しかし2月中旬頃には、新型コロナはアメリカで感染爆発するか否かではなく、『いつ』そうなるかの問題だということは分かっていた」と、トロイは語った。


「トランプの関心は大統領選」

「しかし大統領は耳を貸さなかった。なぜなら彼の最大の関心は、大統領選が実施される今年、新型コロナが自分の政治的成功にどう影響するかどうか、ということだったから」と、トロイは続けた。「大統領が『新型コロナなどでっち上げだ』とか、『すべてがうまく行っている』と言うのを聞いてショックだった」

9月に発刊された著名ジャーナリスト、ボブ・ウッドワードの新著『怒り』によると、トランプ自身、毎日実施されるスタッフの状況報告のなかで新型コロナの脅威を軽視していたことを認めている。トランプはウッドワードの取材に、新型コロナが「致死的だ」と認めながら、問題を「軽く見せたい」と語っていた。

トランプはある時、ホワイトハウスで行われたタスクフォースのミーティングで、「嫌いな人間たち」と握手しなくても済むという点では新型コロナは良いことだ、とほのめかしたという。それはトランプを信じてマスクもせずに集会に集まってくる支持者たち、トランプが気にかけているはずの人々のことだろう、とトロイは述べている。「トランプという人間がよくわかる」

トロイにとって、ホワイトハウスで働けるのは一生に一度のチャンスだった。毎日、全身全霊を込めて働いた。しかし次第に、自分が正しいことをしているのかわからなくなったとトロイは言う。「私が何をしようと、どんなに頑張ろうと、トランプがアメリカの安全をぶち壊してしまうからだ」

本誌の取材に対して、ホワイトハウスのジャッド・ディアー報道官は、トロイはトランプとの個人的なミーティングには出席していないと回答している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ軍撤退なければ、ドンバス地方を武力で完全

ビジネス

アングル:長期金利2.0%が視野、ターミナルレート

ワールド

中国、レアアース輸出ライセンス合理化に取り組んでい

ワールド

ADBと世銀、新協調融資モデルで太平洋諸島プロジェ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 3
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 4
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中