最新記事

2020米大統領選

副大統領候補ハリスが歩み始めた大統領への道 バイデンが期待する次世代政治家の「力」

Harris to Be a Powerful Veep

2020年8月18日(火)19時30分
マイケル・ハーシュ

magw200818_Harris2.jpg

トランプは「のろまなジョーといんちきカマラ」と早くも攻撃 ALEX WONG/GETTY IMAGES

一方で、カリフォルニア州の司法長官だったハリスに期待されるのは国内問題、とりわけ刑事司法や警察制度の改革、アフリカ系アメリカ人コミュニティーや女性の声に耳を傾け、手を差し伸べる役割だ。ハリスの起用に当たって彼女の人種と性別が重要な要素の1つであったことは間違いない。

「そういう役割分担の可能性は高いと思う」と言うのは、かつてバイデンの側近だったマイケル・ホルツェル。「言わせてもらえば、ハリスは(ベテラン上院議員の)エリザベス・ウォーレンと並んで、万が一の場合に大統領の職務を遂行するのに最も適した人材だ。ハリスが外交面で1つか2つの『担当』をもらってもおかしくない」

一方、クリントン政権の副大統領だった時期のアル・ゴアを支えたブレーンの1人で今はブルッキングス研究所にいるエレイン・カマークは、ハリスが「差別問題や警察改革に加えて議会対策でも相当な役割」を果たすだろうとみる。そもそもバイデンは「自分と同じタイプ」の人間を選んだのであり、現にハリスは「穏健派で、外交にも精通している」からだ。

もう1つの重要な要素がバイデンの年齢だ。77歳の彼はこれまで何度も、自分は次世代への「橋渡し役」にすぎないと述べ、再選は望まないとさえ示唆してきた。つまり55歳のハリスの副大統領候補指名は、そのまま彼女を(早ければ2024年の選挙で)民主党大統領候補の一番手に押し上げる意味を持つ。

言うまでもないが、過去の副大統領は総じて影の薄い存在だった。上院の採決が賛否同数となった場合に最後の一票を投じる以外はほとんど憲政上の職責を持たない退屈な仕事。たいてい蚊帳の外で、閣議にも出ない。大統領が死んだ場合に代役を務めるのが最重要任務だ。

初代副大統領のジョン・アダムズは後に、副大統領職は「人類が考え出した最も取るに足らない職務」だと苦々しげに記している。フランクリン・ルーズベルトの最初の副大統領だったジョン・ガーナーも、副大統領には「バケツ1杯の小便」ほどの価値もないと語っていた。要するに副大統領は、選挙でバランスよく票を集めるための道具であり、当選後は忘れられる存在であればよかった。

だが最近は様子が違う。クリントン政権のゴアもジョージ・W・ブッシュ政権のディック・チェイニーも、そしてバイデン自身も相当な実権を握っていた。

【関連記事】パックン予測:カマラ・ハリスは2024年のアメリカ大統領になる!
【関連記事】バイデン陣営はこれで「ターボ全開」? 副大統領候補ハリス指名の意味

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ソニー・ホンダモビリティ、EVモデルの開発・発売を

ビジネス

一時的インフレ上振れでも緩やかな引き締め必要な可能

ビジネス

キオクシア、台湾・南亜科技の第三者割当増資引き受け

ビジネス

武田薬が事業構造を再編、26年度に1500億円の費
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆保険」を達成した中国の医療保険の実態とは
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下位になった国はどこ?
  • 4
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 5
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 6
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「…
  • 7
    スペイン王室、王妃と王女の装いに見る「母から娘」…
  • 8
    「有事の金」が下がる逆説 イラン戦争で市場に何が…
  • 9
    「買ったら高いじゃん?」アカデミー賞会場のゴミ箱…
  • 10
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中