最新記事

インドネシア

バリ島、コロナ終息待てずに観光再開 高級リゾートのテレワーク格安プランを提供、ただし国内限定

2020年7月30日(木)20時10分
大塚智彦(PanAsiaNews)

美しいバリ島のビーチに観光客が戻るのいつの日? REUTERS/Nyimas Laula

<日本同様に観光業の売上が激減した東南アジアのリゾート。見切り発車ともいえる規制緩和だが、果たしてお客は?>

世界的観光地であるインドネシアのバリ島が7月31日から観光客の受け入れを再開する。といってもインドネシアは新型コロナウイルスの感染拡大が止まることを知らず、バリ島のあるバリ州も7月30日現在で感染者3360人、死者48人となっており、観光再開は感染の危険性が低くなっていることが理由では決してない。

バリ島は観光が主要産業で、インドネシアで初のコロナウイルス感染者が確認された3月以来、感染者数の増加に伴い政府が打ち出す各種の社会的、経済的制限に準拠して飲食業、ホテル業は営業停止に追い込まれ、島内各地にあるビーチや観光スポットも閉鎖となって閑古鳥がないていた。

このため経営困難から多くの飲食店、土産物屋などが倒産に追い込まれ、ホテルなどの不動産も破格の安値で売り出される状態に直面。このままでは観光地としてバリの復活は不可能になる、との危機感が日増しに高まっていた。

5月の入国者は36人、昨年48万人の落差

日本貿易振興機構(JETRO)ジャカルタ事務所によると、2020年1月から3月までの経済成長はマイナス7.7%に落ち込み、4月からの海外入国者制限実施に伴い、外国人観光客が激減。5月の海外からの入国者は36人で前年同期の48万3900人と比べれば天と地以上の差となり、島全体が苦境にあえぐ状態に追い込まれていた。

こうした状況にバリ州のワヤン・コステル知事が動きだし、いくつかの条件付きで国内観光客に限定した観光再開に31日から漕ぎ出すことになった。

この間、観光地でありながら各種の厳しい活動制限に反発した長期滞在の外国人らが立ち入り禁止のビーチに繰り出したり、「3密」となるパーティーや交流会が行われて周辺のバリ人住民から苦情が寄せられ、イベントを企画した外国人が国外強制退去処分になった事件も大きく報道された。

ようするにバリ全体がもはやコロナ禍の苦境に耐えられない限界を迎えていたといえる。

それだけに今回の観光再開は国内観光客限定とはいえ、バリ島の観光産業復興への大きな足掛かりとなると各方面から大きな期待が寄せられている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ヒズボラ指導者、イスラエルへの報復攻撃を示唆 司令

ワールド

「オートペン」使用のバイデン氏大統領令、全て無効に

ビジネス

NY外為市場=ドル、週間で7月以来最大下落 利下げ

ワールド

エアバス、A320系6000機のソフト改修指示 航
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場の全貌を米企業が「宇宙から」明らかに
  • 4
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 5
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 6
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 7
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    エプスタイン事件をどうしても隠蔽したいトランプを…
  • 10
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 7
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中