前回選挙で成功した「集会戦術」に執着するトランプ 世論と合わず「空回り」
再び支持基盤固め
共和党ストラテジストのアレックス・コナント氏は「時間がトランプ氏の側に不利になってきた局面で、彼は(もともと岩盤の)支持基盤を固める作戦に戻っている。パンデミックの対応を説明しても誰も喜ばないが、南部諸州の銅像を守ると言えば支持者の一部は歓迎してくれる」と打ち明けた。
トランプ氏が2016年の大統領選挙に引き続き目指すのが、1968年の大統領選で勝利した共和党候補のリチャード・ニクソン氏の戦術。ニクソン氏は、激しさを増していたベトナム戦争反対運動を「物言わぬ多数派(サイレントマジョリティー)は支持していない」が持論だった。
ただし世論調査は、そうしたトランプ氏の思惑と有権者の意識がかい離していることを示している。ロイター/イプソスの調査を見ると、3月から6月までの間にバイデン氏は無党派層の支持率でトランプ氏に12%ポイントの差を付けた。3月時点でトランプ氏が3%ポイントリードしていた55歳より上の高齢者の支持率も、6月はバイデン氏が逆に7%ポイント優位に立っている。
そこでトランプ氏陣営が期待をかけていたのが、11日に予定していたニューハンプシャー州の集会だった。陣営によると、当地で新型コロナ感染拡大が起きる前の2月に開いた前回の集会では、配布した5万3000枚のチケットのうち17%は、直近の選挙に足を運ばなかった人、また25%は民主党員が受け取っていた。
選対本部の広報担当者は「こうした集会こそが、トランプ大統領の歴史的偉業を有権者に改めて思い起こしてもらう完璧な機会になる」と話す。
ホワイトハウスは、集会時期は1、2週間先送りされると説明した。

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