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コロナ後の旅行を再開する「トラベル・バブル」構想に死角あり

Welcome to a World of Bubbles

2020年6月13日(土)15時10分
ジェームズ・クラブトリー(国立シンガポール大学准教授)

ただし、ワクチンが開発されて広く普及するまでは、世界の大半の国が「レッド」となる。これにはインドやナイジェリア、エクアドルなど、新型コロナへの対応が乏しい貧困国が目立つ。国境再開には厳格な検疫体制などの規制が必要で、それが観光の足を引っ張る可能性が高い。

レッドゾーンの国同士で国境を再開する場合もあるだろうが、今後のアウトブレイクの管理が複雑になりかねない。あるいは、レッドゾーンの居住者が自己負担で厳しい検疫を受け入れた場合のみ、グリーンゾーンへの渡航が可能になるといった非互恵的な条件を受け入れざるを得なくなり、国内で反発が生じるかもしれない。

グリーンゾーンの中でも、企業はリモートワークに適応して、観光客の出足は鈍っており、旅行の習慣は徐々に再開せざるを得ない。一方で、不本意ながらレッドゾーンにいる国々は、いわば恒久的な「国家封鎖」に陥る。それこそが、疫学的に分断された世界の真の影響だ。

From Foreign Policy Magazine

<2020年6月16日号掲載>

【参考記事】新型コロナで激変する世界の航空業界、その未来は中国が決める
【参考記事】バフェットが米航空株をすべて売却、「私のミスだった」

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