最新記事

結婚

「この貞淑な花嫁は......男だ」 イスラムの教え強いインドネシア、ベール越しのデートで初夜まで気付かず

2020年6月11日(木)19時22分
大塚智彦(PanAsiaNews)

デートしても同性だと気付かなかったのは?

この時ムーさんはMITさんがイスラム教徒の女性が着用する頭部から口元までを覆う伝統的な衣装をつけていたため、女性であることに全く疑問を抱かなかったと警察の事情聴取に供述している。

離婚歴があるムーさんは結婚願望が強く、約1カ月の間にMITさんにプロポーズして結婚に漕ぎつけた。交際中に何度かムーさんはMITさんを彼の自宅に誘い、そこで大人の関係になる機会があったというが、MITさんは「生理中」として断ったことや、イスラム教徒女性のたしなみとして「結婚するまで待って」という言葉を口にしたため「慎み深い女性だ」と信じて「きれいな体のまま」で式の当日を迎えたという。

詐欺と名誉棄損で告発

結婚した新妻がよりによって男性だと知ったムーさんはショックと恥ずかしさに打ちのめされたものの、気を取り直してまず、離婚の手続きを開始し、同時に地元警察にMITさんを「詐欺」と「名誉棄損」の容疑で告発した。

ムーさんは「生物学上の性を隠しての結婚は"詐欺罪"に相当し、ムーさんの家族や共住地域のコミュニティーに恥をかかせ"名誉を棄損"した」と主張している。

訴えを受けて捜査に乗り出した警察に対しMITさんの方は「結婚前にムーさんは何度か親密な関係になろうとし、その際私の体を隅から隅まで手でなでたり触ったりして、私の体が彼の体と同じであることは理解していたはずだ」と供述しているという。

イスタグラムにアップされた2人の結婚式当日の写真では白い婚礼衣装で着飾ったMITさんがムーさんの横に並んでいるが、目以外の顔が見えない状況となっている。

同様のケースが過去にも、原因は宗教か

今回と同様のケースは2019年9月にスラウェシ島のセミダンアジ郡にある地区で少女TEさん(15)が男性NIさん(25)と結婚しようとしたが、直前にNIさんが男装している女性であることが判明して、結婚式がドタキャンされる事案があったという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国大統領、1月4ー7日に訪中 習主席とサプライチ

ビジネス

米シティ、ロシア部門売却を取締役会が承認 損失12

ワールド

マレーシア野党連合、ヤシン元首相がトップ辞任へ

ビジネス

東京株式市場・大引け=続落、5万円台維持 年末株価
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 6
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中