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中国請負の高速鉄道建設が工期遅延に予算超過 インドネシア、入札に敗れた日本の参加要望

2020年5月30日(土)20時46分
大塚智彦(PanAsiaNews)

ジャカルタ=バンドン高速鉄道の建設拠点に展示されているジオラマ。REUTERS/Willy Kurniawan

<目先の安さに釣られたインドネシア政府、袖にした日本に泣きつこうとしている>

中国企業が主体となってインドネシア企業とのコンソーシアムを組んで建設中の首都ジャカルタと西ジャワ州の内陸部にある州都バンドン間約150キロを結ぶ高速鉄道計画。インドネシア政府は今後日本との間で合意しているジャワ島海岸沿いの路線でジャカルタ=スラバヤを結ぶ在来線の高速化計画と一体化する方針をジョコ・ウィドド大統領が示し、形のうえでは日本が中国と同じコンソーシアムを組んでインドネシアの鉄道計画に共同で当たるよう希望していることが明らかになった。

このジャカルタ=バンドン間の高速鉄道計画は2015年の入札段階で日本と中国が激しく争ったものだ。安全性を優先すると同時にインドネシア政府の債務保証を求めた日本に対し、中国側がインドネシアに債務保証も財政負担も求めず、短い工期と安い建設費用を前面に出して、土壇場で逆転、落札した経緯がある。

日本にしてみれば「いわくつき」の鉄道計画だけに「何をいまさら」という感じが拭いきれないが、同計画は着工も遅れ、その後も建設に要する土地収用、建設工事が予定通りに進まず、完工・運用開始時期が何度も先延ばしされている。

さらにそれに伴って、当初の55億ドルの資金のうち75%を中国側が出資するとはいえ、残る25%を負担するインドネシア国営企業連合の予算が膨れ上がったことなどから、インドネシア政府としては「日本との間で進めている在来線の高速化計画と一本化する」という折衷案のような形で両計画の推進を図り、早期の完成、運用開始に漕ぎつけたいとの強い意向があるものとみられている。

国家プロジェクト会議で大統領が指示

5月29日に開かれた国家戦略プロジェクトに関する閣僚会議のあとオンライン記者会見したアイルランガ・ハルタルト経済担当調整相は「ジャカルタ=バンドン高速鉄道建設のコンソーシアムにジャカルタ=スラバヤの高速化計画を進める日本を追加することを検討している。これはジョコ・ウィドド大統領からの要請でもある」として政府の方針変更を初めて明らかにしたと地元英字紙「ジャカルタ・ポスト」やネットニュース「ディテック・コム」などが29日一斉に伝えた。

アイルランガ調整相は日本に参加を求める理由として、中国主体の建設計画が当初の予定を大きく遅れた2021年の完工・運用開始を目指していたものの「今回の新型コロナウイルス感染拡大によりさらに遅れる可能性が濃厚になってきたこと、さらにそうした遅れに伴い当初予算が大幅に膨らんでいることなどがある」と述べたという。

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