最新記事

新型コロナウイルス

新型コロナ時代の空の旅、感染リスクは意外に低い?

Everything You Need to Know About Flying During the Coronavirus

2020年5月28日(木)10時50分
キム・スー

ユタ州ソルトレイクシティから離陸したデルタ航空の客室。乗客はほとんどいない(20年4月11日)Jim Urquhart -REUTERS

<コロナ感染症対策の移動制限も徐々に緩和されてきたが、密閉された機内で多くの乗客と過ごす航空機の旅は危険? 空調や座席の工夫でリスクは減ると関係諸団体はアドバイスする>

新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界中の航空産業は翼をもぎとられた状態だ。世界各国で都市封鎖が実施され、実質的に旅行が不可能になっている。

アメリカの運輸保安局(TSA)の最新の統計によると、祝日である5月25日の旅客数は、昨年同日と比べて約86%減少した。

現在は世界各国で外出や渡航の禁止など厳しい感染対策の緩和が進み、航空会社は乗客の増加に備えている。だが、数百人が一緒に移動する可能性がある空の旅は、ウイルス感染のリスクと隣り合わせだ。新型コロナウイルスがいまだ猛威を振るうなか、航空機を安全に利用することはできるのだろうか。

オフィスよりマシ

国際航空運送協会(IATA)によれば、航空機の機内で感染症にかかるリスクは概して、ショッピングセンターやオフィスよりも低い。

米疾病対策センター(CDC)はそのウイルス対策のガイドラインのなかで、こう述べている。

「ほとんどの場合、ウイルスや細菌が飛行中の機内で拡散することはない。機内の空気は濾過され、循環しているからだ。ただし、混雑した便では社会的な距離を保つことが難しく、数時間も他の乗客に接近して過ごさなければならないことがある。これによって感染する可能性はある」

「飛行機で移動する場合には、手荷物検査で列を作ったり、空港ターミナルで待機したりすることがある。このときに、他の人と接触したり、何かの表面に触れることも頻繁にあるので注意が必要だ」と、CDCは付け加える。

世界保健機関(WHO)はこうアドバイスする。

「これまでの研究で、航空機内で感染症がうつる危険はほとんどないことがわかっている。機内の空気は注意深く管理されている。換気により機内の空気は1時間に20~30回入れ替わっている」

「最新型の航空機はたいていの場合、客室の空気の最大50%を再循環させるシステムを備えている。再循環の際に、病院の手術室や集中治療室で使われているような高性能のフィルタが、空気中の埃だけでなく、バクテリアや細菌、真菌、ウイルスも取り除く」

<参考記事>新型コロナ、客室内の「空気」は安全? 航空業界に新たな課題
<参考記事>こんなエコノミーは嫌だ! 合理的すぎる座席で、機内はまるで満員電車?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン大統領、対中関税を大幅引き上げ EVや半導

ワールド

再送-バイデン政権の対中関税引き上げ不十分、拡大す

ワールド

ジョージア議会、「スパイ法案」採択 大統領拒否権も

ビジネス

米ホーム・デポ、売上高が予想以上に減少 高額商品が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 2

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 3

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プーチンの危険なハルキウ攻勢

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    ユーロビジョン決勝、イスラエル歌手の登場に生中継…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 10

    ロシア国営企業の「赤字が止まらない」...20%も買い…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中