最新記事

感染症対策

政府、緊急事態宣言を全面解除 安倍首相「2度目の緊急事態発出の可能性はある」

2020年5月25日(月)20時15分

安倍首相は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために発出していた緊急事態宣言を全面的に解除すると表明した。都内で撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

安倍晋三首相は25日夜、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために発出していた緊急事態宣言を全面的に解除すると表明した。4月16日に対象を全都道府県に拡大して1カ月半での解除となる。

政府は、午前に行われた新型インフルエンザ等対策有識者会議基本的対処方針等諮問委員会(諮問委員会)に、全都道府県の緊急事態宣言解除を諮問、了承が得られた。東京都、神奈川県、北海道については引き続き調査・分析を行うよう諮問委から指示があったという。

ウイルスはゼロではない、2度目の宣言も

安倍首相は夕方の会見で、今回の感染拡大について「1カ月半でほぼ収束できた」と強調。「ここから新たな日常を作り上げる」との考えを示した。一方で、ウイルスがゼロになったわけではなく、最悪の場合、2度目の緊急事態宣言を発出する可能性はあるとした。

西村康稔経済再生担当相は午前の会見で、全面解除の判断について「(第2波があっても)クラスター対策で抑えられる範囲に至った。適切な判断だ」と国会で説明した。また「当然第2波はある」と述べ、宣言解除後に約3週間ごとに地域の感染状況などを評価し、外出自粛やイベント開催制限要請などを段階的に解除していく考えを示した。

経済対策、1次補正と合わせて200兆円超

外出自粛などの影響を受けた事業者への支援や、落ち込んだ経済に対応するため、政府は27日にも第2次補正予算を決定する。安倍首相は1次補正と合わせた事業規模は200兆円を超えると強調。130兆円を超す企業の資金繰り支援を行う考えも併せて示した。

政府の緊急事態宣言解除を受け、東京都の小池百合子知事は、26日午前0時から休業要請の緩和を開始すると表明した。

政府は4月7日に7都府県を対象に緊急事態宣言を発出。4月16日には全47都道府県に対象を拡大した。5月4日に宣言の期限を5月6日から31日まで延長したが、5月14日に39県、21日に関西の3府県の宣言を解除していた。

*情報を更新し、写真を差し替えて再送します。

(石田仁志、浜田寛子 編集:田中志保)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・東京都、3段階で休業解除へ 感染増加すれば東京アラートでレインボーブリッジ赤点灯
・東京都、新型コロナウイルス新規感染14人に急増 緊急事態宣言解除の目安、3項目中2項目が基準下回る
・コロナ独自路線のスウェーデン、死者3000人突破に当局の科学者「恐ろしい」
・韓国クラスター発生の梨泰院、BTSメンバーら芸能人も 感染者追跡の陰で性的マイノリティへの差別も


20200602issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月2日号(5月25日発売)は「コロナ不況に勝つ 最新ミクロ経済学」特集。行動経済学、オークション、ゲーム理論、ダイナミック・プライシング......生活と資産を守る経済学。不況、品不足、雇用不安はこう乗り切れ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ大統領、13日から中東3カ国歴訪 大規模デ

ワールド

オーストラリアのアルバニージー首相、2期目就任の宣

ワールド

米農務省の職員が大量退職、鳥インフルエンザ対策に影

ビジネス

エクイノール、NY沖風力発電事業取りやめも 米政権
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映った「殺気」
  • 3
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】
  • 4
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 5
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 6
    「出直し」韓国大統領選で、与党の候補者選びが大分…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    「がっかり」「私なら別れる」...マラソン大会で恋人…
  • 9
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 10
    ハーネスがお尻に...ジップラインで思い出を残そうと…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 9
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 10
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中