最新記事

韓国

韓国の「社会的距離の確保」規制は、意外と緩かった......

2020年4月24日(金)17時40分
佐々木和義

スポーツセンターの休業で運動不足に悩む市民は繁華街を避け、ゴルフ場や近郊の山々に繰り出している。ソウル北部の北漢山を訪れた登山客は昨年同期より45.7%多く、登山靴は売上が54.1%増加した。登山関連の売上は2014年をピークに減少傾向が続いていたが、特需を受けたメーカーは登山やウォーキング関連商品の開発に注力をはじめている。

ゴルフ用品も好況だ。アパレルメーカーのハンセMKはゴルフウェアの売上が前年同期と比べて26.8%増え、ヒョンジのゴルフウェアブランドも3月第3週から週20%のペースで伸びている。ロッテ百貨店は4月6日から12日の1週間に、登山服は前週比30.8%、ゴルフ関連用品は5%多く売上げた。

公園は家族連れで溢れた

ソウル市は4月11日と12日の週末を警戒した。桜の満開とキリスト教会最大の祝日である復活祭が重なったのである。

市の懸念は的中し、多くの市民が公園に殺到した。満開の桜の下で写真を撮る人々や芝生にレジャーシートを敷く家族連れで溢れ、公園内のコンビニエンスストアに行列ができるほどだった。汝矣島漢江公園を抱える永登浦(ヨンドンポ)区庁は、スピーカーを設置して2メートルの間隔を維持するよう案内するが効果はない。警察官が統制できないほど多くの人が押し寄せたのである。

週が明けると、オフィス街の飲食店が賑いを見せる。明洞に隣接する中区乙支路(ウルチロ)3街のビアホールは午後7時ごろから仕事帰りの会社員が集まりはじめ、2時間ほどで満席になった。江南や弘大といった繁華街を避ける会社員がオフィス街の居酒屋やビアホールに集まっているのだ。

社会的距離を確保する期限が迫った4月18日、在宅勤務を続ける会社員の間から規制解除を憂慮する声が上がりはじめる。規制が解除されると在宅勤務は終了し、子供たちは通学する。ブルーマンデー症候群に似た症状が広がった。

一部施設の運営制限を解除へ

政府は5月5日まで社会的距離の確保を続ける一方、一部施設の運営制限を解除すると発表した。宗教施設や遊興施設、室内体育施設、学習塾等の「運営中断」を「運営自粛」に緩和した。入口で発熱を確認し、人と人の間隔を1メートル確保する。共用品の使用は禁止し、1日2回以上の換気など防疫指針の遵守を義務付ける。

4月24日までの1週間で新たに感染が確認された人は100人を下回り、隔離解除者は650人余りとなっている。政府は5月6日以降さらに緩和し、生活の中で距離を置くことを目指したい考えだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中閣僚貿易協議で「枠組み」到達とベセント氏、首脳

ワールド

トランプ氏がアジア歴訪開始、タイ・カンボジア和平調

ワールド

中国で「台湾光復」記念式典、共産党幹部が統一訴え

ビジネス

注目企業の決算やFOMCなど材料目白押し=今週の米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水の支配」の日本で起こっていること
  • 4
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 5
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 6
    1700年続く発酵の知恵...秋バテに効く「あの飲み物」…
  • 7
    「平均47秒」ヒトの集中力は過去20年で半減以下にな…
  • 8
    【テイラー・スウィフト】薄着なのに...黒タンクトッ…
  • 9
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 10
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中